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新薬10製品が薬価収載へ C肝薬ハーボニー ジェノタイプ1型適応 予測販売額は2年後1190億円

公開日時 2015/08/27 03:52

厚労省の中医協・総会は8月26日、新薬10製品(10成分16品目)を薬価収載することを決めた。同省は31日に収載予定。

この中には5月に発売になったジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬ソバルディに、NS5A阻害薬レジパスビルを配合したギリアド・サイエンシズのハーボニー配合錠も含まれる。補正加算はなかったが、薬価は1錠8万171.30円(1日薬価同)で、予測販売額は2年後に1190億円。同剤の適応は、日本のC型肝炎患者の7割以上といわれるジェノタイプ1型で、治験では、持続的ウイルス学的著効率(SVR12)が100%との結果が得られている。

収載が決まった製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と収載希望会社名)。

プラケニル錠200mg(ヒドロキシクロロキン硫酸塩、サノフィ)

効能・効果:「皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス」
薬効分類:399  他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
薬価:200mg1錠 418.90円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数2.7万人、販売金額61億円
加算なし
 
過去にクロロキンを有効成分とする経口薬があったが、高用量での使用によって網膜症を発現することが国内外から報告されたため、日本では1974年に製造中止となった。しかし、同剤を6.5mg/kg/日を超えない用量で投与すると網膜障害を含む眼障害を発現する可能性が低いことが明らかとなり、海外では当該用量で長年使用されている。
 
オフェブカプセル100mg、同150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム)
効能・効果:「特発性肺線維症」
薬効分類:399  他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
薬価:
100mg1カプセル 4382.90円
150mg1カプセル 6574.40円(1日薬価:1万3148.80円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.9千人、販売金額233億円
有用性加算(II)(A=5%):加算理由「既存薬のピルフェニドンは、光曝露に伴う皮膚の発がんの可能性があることなどから、投与患者は光曝露に対する防護策を講ずる必要があるが、本剤にはそのような患者の日常生活への制限を必要としないため」
 
特発性肺線維症で初の分子標的治療薬。血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α及びβ、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)1~3、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)に結合して、特発性肺線維症の病態形成に関与する線維芽細胞の増殖、遊走、トランスフォーメーションに関わる細胞内シグナル伝達を阻害する。
 
ファリーダックカプセル10mg、同15mg(パノビノスタット乳酸塩、ノバルティスファーマ)
効能・効果:「再発又は難治性の多発性骨髄腫」
薬効分類:429  その他の腫瘍用薬(内用薬)
薬価:
10mg1カプセル3万6583.90円
15mg1カプセル5万4875.80円(1日薬価:1万5678.80円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数1300人、販売金額22億円
加算なし
 
多発性骨髄腫を含む複数のがんでは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性の上昇が見られ、腫瘍の形成や増殖、血管新生などがんを促進するプロセスが生ずる。同剤は、このHDACを阻害することで、細胞死を誘導し、腫瘍の増殖を抑える新たな作用を持つ。
 
ハーボニー配合錠(レジパスビル アセトン付加物/ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
効能・効果:「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」
薬効分類:625 抗ウイルス剤(内用薬)
薬価:1錠 8万171.30円(1日薬価:8万171.30円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数1.8万人、販売金額1190億円
加算なし
 
処方日数制限を28日とする。同剤1錠中、レジパスビル90mg、ソホスブビル400mgを含有。通常、成人には1日1回1錠を経口投与し、投与期間は12週間。
 
レジパスビル及びソホスブビルはC型肝炎ウイルスの複製に関わるNS5A及びNS5Bポリメラーゼをそれぞれ阻害することでウイルスの増殖を抑制する。同剤はC型慢性肝炎患者の7~8割とされるジェノタイプ1に対する治療薬で、申請時の提出データでは、国内フェーズ3試験において、終了後12週時の持続的ウイルス学的著効率(SVR12)は100%。なお、ソホスブビル単剤(製品名:ソバルディ錠)はリバビリンとの併用でジェノタイプ2のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変に対する適応で3月26日に承認されている。
 
ランタスXR注ソロスター(インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、サノフィ)
効能・効果:「インスリン療法が適応となる糖尿病」
薬効分類:249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(注射薬)
薬価:450単位1キット3102円 (1日薬価:172円、ランタス注を対照薬とした本剤の臨床試験を基に算出)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数41万人、販売金額155億円
加算なし
 
持効型溶解インスリンアナログ製剤。既存のランタス注100単位/mLに対して、製剤中の濃度を300単位/mLに3倍にした。
 
トルリシティ皮下注0.75mgアテオス(デュラグルチド(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
効能・効果:「2型糖尿病」
薬効分類:249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(注射薬)
薬価:0.75㎎0.5mL1キット3586円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数11万人、販売金額200億円
加算なし
 
週1回投与のGLP-1受容体作動薬。シリンジにあらかじめ注射液が充填されているペン型注入器を用いており、注射針も29ゲージと細いことが特徴のひとつ。なお、既存のGLP-1受容体作動薬にはバイエッタ皮下注(一般名:エキセナチド遺伝子組換え、1日2回)、ビデュリオン皮下注(同、週1回)、ビクトーザ皮下注(リラグルチド遺伝子組換え、1日1回)、リキスミア皮下注(リキシセナチド遺伝子組換え、1日1回)――があり、トルリシティ皮下注は同作動薬として4成分目、同作動薬の週1回製剤としては2剤目となる。
 
ザイヤフレックス注射用(コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクス)、旭化成ファーマ)
効能・効果:「デュピュイトラン拘縮」
薬効分類:290 その他の個々の器官系用医薬品(注射薬)
薬価:0.58㎎1瓶 19万3861円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数4.0千人、販売金額15億円
20%加算:加算理由「薬物治療という比較的侵襲性の低い新たな治療選択肢を提供するものであり、臨床的意義が認められる。一方、既存治療である手術と有効性及び安全性を直接比較したデータはないこと等も考慮」
 
同剤は、デュピュイトラン拘縮に対するは国内初の治療薬。手のひら内部の腱膜と呼ばれる線維組織が肥厚し、病態の進行とともに手指の屈曲拘縮が生じる。日本での主な治療法は手術療法で推計で年間約1800件。侵襲性が高く、手術による神経損傷や動脈損傷などの合併症の問題がある。
 
ストレンジック皮下注12mg/0.3mL、同18mg/0.45mL、同28mg/0.7mL、同40mg/1mL、同80mg/0.8mL(アスホターゼアルファ遺伝子組換え、アレクシオンファーマ)
効能・効果:「低ホスファターゼ症」
薬効分類:395 酵素製剤(注射薬)
薬価:
12㎎0.3mL1瓶13万1859円
18㎎0.45mL1瓶197788円
28㎎0.7mL1瓶30万7671円
40㎎1mL1瓶43万9530円
80㎎0.8mL1瓶87万9061円
(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数100人、販売金額76億円
加算なし
 
低ホスファターゼ症に対する国内初の治療薬。低ホスファターゼ症は、骨石灰化不全を特徴とする遺伝性、慢性の進行性疾患。骨破壊や重度の筋力低下、けいれん発作などの症状を伴い、呼吸不全や早期死亡に至る場合もある。発症はあらゆる年齢層にまたがる。小児期の発症で予後が不良とされる。同薬は、遺伝的欠損で不足する酵素を補充することでミネラル代謝過程を正常化し、疾患の症状を予防、改善することが期待されている。国内患者数は100~200人と推定されている。
 
ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ遺伝子組換え、ブリストル・マイヤーズ)
効能・効果:「根治切除不能な悪性黒色腫」
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
薬価:50㎎10mL1瓶 48万5342円
市場予測(ピーク時1年目):投与患者数220人、販売金額12億円
加算なし
 
同剤は免疫反応を活用して効果を発揮する薬剤で、T細胞の活性化を抑制するCTLA-4の働きを抑え込むことで、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促して腫瘍増殖を抑制する作用を持つ。ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体で、CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる。悪性黒色腫の日本の患者数は約4000人、年間約700人が死亡するという。進行期悪性黒色腫の場合5年生存率は10%前後と予後不良。同じ適応症で小野薬品が2014年9月に発売した免疫療法薬オプジーボとは異なる経路を標的にする。
 
アコアラン静注用600(アンチトロンビンガンマ遺伝子組換え、協和発酵キリン)
効能・効果:「先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向」「アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)」
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
薬価:600国際単位1瓶3万2999円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時10年目):投与患者数3.5万人、販売金額115億円
加算なし
 
国内初の遺伝子組換えアンチトロンビン(AT)製剤。ATは、血液中の主要な凝固阻害因子のひとつ。
 
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