中医協・薬価専門部会 「市場は経済力以下」
公開日時 2003/05/28 23:00
厚生労働省の中医協は5月28日、薬価専門部会を開き、専門委員が医薬品業界
の現状について発表した。来年4月の薬価改定に向け、算定ルール見直しのた
めに委員が共通認識を得る目的。このうち八代光夫専門委員(武田薬品工業常
務取締役)は、02年度の医療用医薬品市場が前年度比1.3%増の6兆8511億円
になったものの、9年前の93年度(6兆3786億円)から「ほとんど増えていな
い」と、市場の硬直性を訴えた。
また、日本のGDPが世界に占める割合は15~16%なのに、医薬品市場規模は97
年の15.8%から01年には13.5%に縮小したと指摘。「(医薬品は)高い、量が
多いといわれるが、経済力以下の推移だ」とした。さらに、年間5億ドル以上
売り上げる世界中の医薬品124品目のうち日本企業製品が13品目を占めること
から、「日本オリジンの開発品が世界の患者に届けられている」と説明。「販
管費を節約しながら研究開発費を捻出している」実情を吐露した。
一方、卸の立場から内匠屋理専門委員(クラヤ三星堂副社長)は、卸業界が安
定供給やメーカーMRを補う形での情報提供、災害時対応などでの役割を果たし
ていることを述べ、「単なる宅配便のような業種とは違う」と、流通業として
医療の一端を担っているとの主張を展開した。
市場規模の推移について支払い側委員の下村健健康保険連合会副会長は、「
(市場は)ゆるやかに伸びており、果たしてこれではやっていけないのか。患
者数の統計なども必要だ」と注文をつけた。次回同部会は6月11日に開催、薬
価算定組織からの意見聴取を行うほか、薬価調査の実施方法について検討、薬
価改定に向けた具体的な議論がスタートする。