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エーザイ・内藤CEO「レケンビはブロックバスターへの道を歩んでいる」 25年度売上は765億円と計画

公開日時 2025/05/16 06:00
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは5月15日、2025年3月期(24年度)決算説明会で、「レケンビはブロックバスターへの道を着実に歩んでいる」と自信をみせた。25年度の売上高は73%増の765億円と計画する。特に、売上の拡大フェーズに入った日本では88%増の240億円と成長を見込む。25年4月の1か月間で20億円超を売上げたことを紹介し、売り上げ達成に自信をみせた。レケンビの実用化に向けて抗Aβ抗体への経営資源を集中させており、21年度からの5年間で累計3700億円を投資したと振り返ったうえで、「レケンビのジネスの収益は26年度に黒字転換を目指している」と強調した。

◎レケンビ25年度売上高は73%増の765億円見通し 日本は88%増の240億円

早期アルツハイマー病(AD)治療薬・レケンビの24年度売上高は、443億円。このうち、米国では261億円、日本では127億円、中国で47億円を売り上げた。内藤CEOは、24年度が1年間フルに売上の立つ最初の年度だったとしたうえで、「初年度としてはしっかりした実績を上げることができたのではないか」と評価する。

さらなる成長軌道を描く。25年度には売上高73%増の765億円と計画する。米国は53%増の400億円、日本は88%増の240億円と成長を見込む。

◎日本は「最も早くデマンド拡大期に入った」 循環型の診療連携構築で環境整備

内藤CEOはレケンビの成長軌道を①診断・治療環境を整える「パスウェイ構築期」、②パスウェイ各ステップにおいて一定の数の患者様を受け入れられるキャパシティを確立する「デマンド喚起期」、③パスウェイの軽量化が進み導入患者様がさらに増大する「デマンド拡大期」-の3ステージにわけて解説する。

特に、日本については「5リージョンの中でも一番早く、デマンド拡大期に入ったのではないか」と話す。実際、今年4月には1か月間で20億円超を売り上げた。アリセプト上市以降、25年間にわたりADの研究者や専門医ら1000人などが参加する研究会を通じて築いた強固なネットワークがあることに加え、診療体制の整備も全国で進めてきた。「導入時に抑制になると考えていた全例調査や最適使用推進ガイドラインで施設要件、処方医の要件が定められたことで、これが整っていればパスウェイになるというモデルをしっかり提示できた。全国でパスウェイの構築が進んだ」と話す。

6か月以上投与された患者が増加するなかで、初期導入施設と、それ以降を担当するフォローアップ施設の間で、「循環型の診療連携ができている」と説明。「お互いに信頼関係が出きていて、紹介すると診断して治療した後、また自分のところに患者様が戻ってくる。それならば、もっと紹介しようとこういう、いわゆる正のスパイラルが構築されている」と強調する。これに、「多数症例による安全性情報の提供と、Humanized Message(患者、患者家族への説明に際し、日常生活においてどのような改善が期待できるかわかりやすく説明する)ことも含めた治療価値の表出化が非常に拡大している状況」として、さらなる浸透に自信をみせる。

◎遊佐執行役「競合の影響は非常に限定的」 治療継続の意義を強調

競合品・ケサンラの業績への影響を問われ、遊佐寿彦執行役・日本事業担当は、「競合の影響は非常に限定的」との見通しも示した。ADが進行性で致死的な疾患であることから、「インフォームドコンセントの際に、例えばアミロイドベータが陰性化していれば1年間で投与を完了するという話をすると、患者様もご家族も非常に不安がある状況が多いと聞いている。治療継続の可能性がしっかりあるレケンビが最終的に選ばれるという状況は、非常に多いと考えている」と話す。また、最適使用推進ガイドラインで、認知機能評価 MMSE スコアが29点、30店の場合に投与できるのはレケンビだけであることを紹介。「今後、より早期受診が広がってきたときに、29点、30点に投与できるのが、レケンビだけであるということは、非常に大きい」と説明した。

投与頻度についても、「日本においては、2週間に1回の通院が非常に患者に良い影響を与えているとよく聞く。我々も、外出の頻度が多いほど、認知機能が保たれるというエビデンスを持って活動している」とも話し、計画達成に自信をみせた。

◎皮下注射オートインジェクターが「ゲームチェンジャー」に

米国でも、「デマンド拡大期に入ると想定している」として、拡大を見込む。特に「ゲームチェンジャー」と期待を寄せるのが、皮下注射オートインジェクター(SC-AI)だ。米国では25~26年度の第1四半期に承認取得を予定する。投与に際しては、アミロイドPET又はCSF検査でアミロイドβ病理を示唆する所見を確認する必要があるが、血液検査の「社会実装が間近に迫っている」として、浸透に向けた環境整備が進むとみる。

承認までに26か月間かかったが、今年4月に欧州連合(EU)で、早期アルツハイマー病の進行を抑制する初めての治療剤として承認を取得したことも追い風とみる。現在、44か国で承認、12か国で申請中といい、「グローバルドラッグへと成長の道を着実に歩んでいる」とも強調した。

◎25年度売上高は0.1%増の7900億円見通し 構造改革を継続

同社の24年度業績は売上高が前年同期比6.4%増の7894億円、営業利益は1.8%増の543億7800万円の増収増益だった。主力3製品(3L)の抗がん剤・レンビマが前期比10.4%増の3,285億円、不眠症治療薬・デエビゴが28.6%増の538億円、早期AD治療薬・レケンビが443億円を売上げ、医薬品事業を牽引した。25年度の売上高は0.1%増の7900億円、営業利益は0.2%増の545億円と横ばいの見通し。レケンビは大幅に伸びるが、レンビマがジェネリック品や競合製品の台頭によって減収する影響が出る。

同社は、組織体制の再構築など構造改革で27年度までに約300億円の改善目標を掲げる。米国では営業部門やメディカル部門の機能や体制を最適化する考え。「米国では、レンビマに多くのMRを必要とするステージではない。レケンビも、一定の市場導入は終わっており、ダウンサイジングするタイミングに入ってきた」などと説明。「25年度に向けて大きな効果を出してくるものと期待をしている」と話した。25年度も引き続き、構造改革を進める考えで、欧州の組織改編に取り組む方針。内藤CEOは、「本年度はレケンビの最大化に資源投入を堅持するが、構造改革を継続し、イノベーションを加速し、サプライチェーンの強化を図っていきたい」と述べた。

【24年度の連結業績 (前年同期比)  25年度予想(前年同期比)】
売上高 7894億円(6.4%増) 7900億円(0.1%増) 
営業利益 543億7800万円(1.8%増) 545億円(0.2%増)
親会社帰属の純利益 464億3200万円(9.5%増)415億円(10.6%減)

【24年度のグローバル主力製品全世界売上高 (前年同期実績) 25年度予想、億円】
レンビマ  3285(2976)3120
レケンビ 443(43)765
デエビゴ 538(418)580
フィコンパ 298(259) 315

【24年度の国内主要製品売上高 (前年同期実績) 25年度予想、億円】
デエビゴ  445 (355) 460
ジセレカ 148(126)-
レンビマ  139(155)130
レケンビ 127(4)240
メチコバール 86(95)86
グーフィス 78(70)85 ※
フィコンパ 77(69)90
モビコール 76(66)76 ※
エレンタール 71(71)65 ※
ハラヴェン 69(79)―
エクフィナ 63 (58) 67

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