アストラゼネカ
公開日時 2002/07/07 23:00
8日、M.ライト社長が都内で会見し、5日に輸入承認を取得した非小細胞肺癌治療剤イレッサ錠250(一般名:ゲフィチニブ)について、医療上のニーズの高さから、今年4月に導入された特定療養費制度にもとづいて来週にも供給を開始すると発表した。薬価収載は9月の見通しで、収載と同時に正式に発売する。 ライト社長は、「進行非小細胞肺癌患者は予後も悪く、薬価収載まで2ヵ月待つのは負担が大きい。イレッサには医療上のニーズと、患者・医師双方からの強い要望がある」と説明した。 イレッサは、癌細胞の増殖に関与するEGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼを阻害することで抗腫瘍効果を発揮する分子標的治療薬。世界同時開発が進められ、日本は今年1月25日の申請から5ヵ月という異例のスピードで、世界に先駆けて承認を取得した。 同社では、「特定療養費制度下での薬剤価格については、医療機関側が設定するもの」としながらも、類似薬の分子標的治療薬である慢性骨髄性白血病治療剤グリベック(イマチニブ、ノバルティス ファーマ、1日薬価=13636.80円)より低い価格で提供できるとの見方を示し、また希望薬価とは大きくかけ離れることはないとした。初期出荷量は医療機関のニーズで決まるため明らかでないが、十分な量を用意していると説明。ライト社長は、イレッサに対する期待が大きいことから、MRには節度のある販促活動を徹底するよう指示しているとした。 イレッサの対象患者は手術不能または再発非小細胞肺癌(化学療法既治療例)。1日1回1錠の経口投与で、フェーズ2国際共同臨床試験での奏効率は18.4%、病勢コントロール率は54.4%、主な副作用は発疹や下痢などでほとんどが軽度~中等度だった。申請の中心となったフェーズ2試験データは、半数が日本人症例によるもの。欧米ではファーストラインでの臨床試験も実施している。効能拡大も目指しており、国内ピーク時売上高は数百億円を見込む。