アストラゼネカの専門家会議 イレッサ副作用「前向き」調査へ
公開日時 2003/02/06 23:00
抗がん剤「イレッサ」(一般名:ゲフィチニブ)をめぐる重篤な副作用問題で、安全確保のため販売元のアストラゼネカが組織した専門家会議は2月6日、「急性肺障害、間質性肺炎(ILD)が疑われたら速やかに投与を中止しステロイド大量療法を行う」「プロスペクティブ(前向き)な調査、臨床試験の計画、実行に着手し発症リスクを検討する」――など7項目からなる「中間報告」を発表した。同会議がこれまで行ったのは、ILD発症症例のみに対する「レトロスペクティブ(遡及的)」な調査だったとして、今年4月をめどにプロスペクティブな調査に着手。プロトコール検討に2ヵ月、臨床試験実施施設との契約に2ヵ月かけ、1年間を目標に試験症例を集積。投与の危険因子に関する研究を行う。中間報告で同会議が発表したのはこのほか、「ILD発症傾向で日本と海外に差があるとは決定づけられず」「斑状、びまん性すりガラス陰影または潤滑影を主体とする所見が中心」「急性肺障害で死亡した症例の剖検例の病理像はびまん性肺細胞傷害」「ILD予後は男性、喫煙歴を有する、放射性治療歴を有する、扁平上皮がんなどが危険因子」「自覚症状の変化、自覚症状の有無に関わらない聴診・検温など理学的所見への観察による早期発見が必要」との結論。同剤は02年7月承認、同12月末までに推定2万3500人の患者に投与され、173人が副作用で死亡した。同会議は日本医科大学第4内科学教室の工藤翔二主任教授と国立がんセンター中央病院薬物療法部の西條長宏部長を幹事に、肺炎、肺がんの専門家11人で発足。同12月5日以来、3回の会合を開いた。