クラヤ三星堂 売上総利益率9.02%に上昇
公開日時 2003/05/14 23:00
クラヤ三星堂の熊倉貞武社長は5月14日、03年3月期決算について記者会見し、売上総利益率が前期比0.29ポイント上昇し9.02%となったことを明らかにした。同社が昨年4月から取り組んだ、当初の段階で仕入れ値を確定する「最終原価方式」と、それにもとづき医療機関への納入価格を決める「自社基準加重値」が功を奏した結果だ。総利益率は、中間決算発表の昨年11月時点でも上昇を見込んでいたが、それも0.07ポイント上回った。仕入原価が下がり、納入価が上がった。従来は、卸としての価格政策がなくMS個人が対応していたが、クラヤ三星堂としての戦略をはっきりさせたことによる。総利益率の中間決算発表時(02年11月)見込は8.95%だった。要因は、最終原価方式と自社基準加重値の両方。また、価格妥結の早期化、一括仕入れの推進の影響もある。しかし、今後は04年3月期8.8%、05年3月期8.74%と下がる見込み。売上総利益を構成する売買差益、割戻し(仕入れ量・物流機能へのフィー、以前のリベート)、アローアンス(各種販促施策の報償)のうち、割戻しは、一定比率のためできるだけ厚くしていくことが基本方針とし、改善されたという。薬価差は、03年3月期に全国平均で2%強改善・縮小されたと見ている。しかし、薬価差の圧縮はR幅(調整幅)2%の固定で限界に近づいたという。熊倉社長は、「価格の上下幅(薬価差)は5%くらいは必要」だとしている。今回の取り組みによる売上総利益の改善、また新人事制度による人件費削減などにより、中期計画としての05年3月期の経営目標を上方修正したと説明した。09年3月期の達成を目指す長期ビジョンでは営業利益率2%に対し、05年目標は1.4%。〔05年3月期目標〕売上高 1兆3460億円 営業利益 189億円 経常利益 224億円 純利益 107億円