日薬櫓薬価研 財源確保のみを目的とした薬価論議を牽制
公開日時 2003/06/17 23:00
日本製薬団体連合会・保険薬価研究委員会の3小委員会は6月17日、研究報告
をまとめた。
既収載品小委は、来年度に向けた薬価制度・薬価算定ルール見直しの議論につ
いて「薬剤費比率は20%を下回る状況となり、10年間の医療用医薬品の伸び率
は低く抑えられてきた。薬剤に係る問題点がどこにあるかをあらためて明確に
すべき」と指摘し、財源確保のみを目的とした議論を牽制した。
また、前回改定で導入された、後発品のある先発品の特例引き下げルールの問
題点として、(1)既に後発品が存在している場合、追加効能に再審査が付さ
れている先発品であっても対象となっている(2)「組成、投与形態および薬
効分類が同一の医薬品」は全て同じ先発品として括るという運用がなされたた
め、普通錠に後発品が存在するという理由で「特許が残存し、再審査期間中に
ある徐放錠」までもが対象とされた──をあげ、運用の見直しを求めた。
新薬小委が、97年6月収載分以降の新薬について、その比較薬を対象に薬価下
落水準(比較薬の収載時薬価を1とした時の水準)を調査したところ、平均0.
84と16%下落していた。このため、有用性加算2(5~10%)は十分な加算率
であるとはいい難いと指摘。
また、97年6月以降に収載された新薬のうち、原価計算方式により算定された
のは33成分あるが、外国平均価格を1とした時の日本の価格は内用薬1.22倍、
注射薬1.31倍、外用薬1.31倍で、「1を超えたが、決して高いという状況では
ない」(小委)。このため「現時点では類似薬のない新規収載品に対して、原
価計算に代わる方式は見出せない」と指摘するとともに、今後テーラーメイド
医薬品など新技術を応用した新薬が適切に評価されるよう抜本的見直しの必要
性に言及した。
医療制度小委の診療報酬改定に関するアンケート調査(診療所・200床未満病
院350軒が回答)によると、院外処方を行っている212軒のうち、「一般名処方
または後発品処方を実施している」のは145軒(68%)。そのうち「診療報酬
改定以降に処方を開始した」のは37軒、「改定以降に処方が増加した」のは43
軒で、計80軒と全体の38%(80/212)を占めた。一方、院内処方を行ってい
る138軒のうち、「後発品処方を実施している」のは93軒(67%)。そのうち
「改定以降に使用を開始した」のは4軒、「改定以降に使用が増加した」のは
32軒で、計36軒と全体の26%(36/138)を占めた。