厚労省・課長 医薬品産業ビジョンの「顧客満足」狙う
公開日時 2003/06/17 23:00
厚生労働省医制局の高倉信行経済課長は6月17日、医薬品企業法務研究会6月
度月例会で講演し、医薬品産業ビジョンについて説明した中で、「背後には医
薬品業界に対する大きな危機感と同時に強い期待感がある。企業自身による戦
略的な経営展開が求められる」と述べた。また、7月までに3回にわたって公
開で行う「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」に関し、「ビジョンの直接的
なカスタマー(顧客)である医薬品産業界がどう感じているのか意見を聴き、
カスタマー・サティスファクション(満足)につなげたい」と、開催に期待を
にじませた。
高倉氏は、1企業あたり研究費の日米格差が拡大していること、国内の治験件
数が減少していること、右肩上がりの医療費の中で医薬品費は抑制基調で横ば
いとなっていることを「危機感」と位置付けた。その一方で、ゲノムなどの技
術革新の「ブレークスルー」が目の前に迫っていること、「知的財産大綱」
「BT戦略大綱」「医薬品産業ビジョン」といった国家戦略による産業政策が推
し進められていることを「期待」とした。
その上で、「医薬品産業は国民の健康に貢献できることから高付加価値。技術
立国を目指す日本のリーディング産業」と、国際競争力強化を指摘。さらに、
「ビジョンの目的は、国民によりよい医薬品を合理的な価格でより早く提供す
ること。患者自己負担3割への引き上げや診療報酬包括払い制度拡大などで、
患者にとっても医療機関にとっても価格や有効性が問われる時代になった」と
述べた。
同懇談会は同ビジョンのアクションプラン進捗状況などについて業界の意見を
聴く目的で、第1回を今月25日に開催する。