厚労省 対がん新10ヵ年戦略スタートへ
公開日時 2003/06/26 23:00
厚生労働省は6月26日、厚生科学審議会科学技術部会・地域保健健康増進栄養
部会の合同部会で、「第3次対がん10ヵ年戦略」の骨子案「がんの罹患率と死
亡率の激減を目指して」を明らかにした。▽生命科学の分野との連携を一層強
力に進めより深い本体解明に迫る▽基礎研究の成果を幅広く予防、診断、治療
に応用▽革新的な予防、診断、治療法を開発▽予防推進で国民の生涯がん罹患
率を低減▽全国どこでも質の高い医療を受けることができるようにする--の
5項目を戦略目標に掲げた。
死亡率の減少したがんがある一方、ライフスタイルの変化で大腸がんなど欧米
型がんの死亡率が増加している現状から、今後の方向として「研究」「予防」
「医療」をキーワードに対策を進める。このうち医療面では、現在約50ヵ所整
備されている地域がん診療拠点病院を、全国364の2次医療圏ごとの整備に拡
大する。また、将来のがん研究を担う若手研究者の育成を図る。骨子は、「今
後のがん研究のあり方に関する有識者会議」(座長・杉村隆国立がんセンター
名誉総長)の審議で決まった。
この日の会合では委員から、「他の疾患で亡くなる人が減り、結果的に死因が
がんという人が増えているので『死亡率の激減』という表現は適切でないので
はないか」「罹患してからのQOL向上を全面に押し出すべき」などの意見が出
た。同省は文部科学省と協議し政府案とする。戦略は84年スタートの第1次、
94年スタートの第2次(がん克服新10ヵ年戦略)に引き続き、04年度スタート
する。