厚労省・懇談会 国際競争力は「承認審査の力量強化」で
公開日時 2003/07/10 23:00
厚生労働省は7月10日、医薬品産業政策の推進に係る懇談会を開いた。開発や
後発品メーカー、医師会など各分野の5人がそれぞれの立場から意見陳述。東
京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授は、「医薬品承認審査の力量
を画期的に強める必要がある。センターに民間の開発経験者を登用し当事者能
力を持たせるべき」と述べた。懇談会は、同省の「医薬品産業ビジョン・国際
競争力強化のためのアクションプラン」に対する各界の意見を聴くため6月か
ら3回にわたり開催、その最終回。
児玉龍彦教授は創薬標的タンパクについて、「がん発現タンパクと化学物質受
容体のタンパクの系統的解析に選択と集中をすべき」とした。また、承認審査
について、「何を提出すれば認可されるのかはっきりせず、じゃんけんの後出
しのような状況」と苦言を呈した。ジーンケア研究所の古市泰宏社長は、開発
投資について、「国際的進歩が早いことを考慮すれば、公募型研究プロジェク
トへ配分するべき」と述べた。
また、日経BP社の宮田満先端技術情報センター長は、オーダーメイド医療の重
要性を強調した。日本医師会の桜井秀也常任理事は、「新GCPなど外国から押
し付けられた規制をそのまま厳格に受け止め、治験を阻害しているのではない
か。保険制度が米国などと違う中で、研究者へのインセンティブがなければ治
験の空洞化は改善しない」と疑問を投げかけた。