日本版CPI 最新技術を駆使し薬剤開発の成功確率を向上
公開日時 2006/10/25 23:00
日本でも導入の機運が高まっている日本版クリティカル・パス・リサーチ(CP
I)に関し、北里大学薬学部臨床統計部門の竹内正弘教授は10月25日の北里ハ
ーバードシンポジウムで講演し、導入のプロセスや課題について問題提起した。
「日本が推進するICR(総合化迅速研究)は米国のCPIと変わりはない。ただ、
それを進めるには安全性の問題があり、ファーマコビジランスが重要となる。
EDCなどを用いてデータベースを構築していくことが課題となる」とし、「ク
リニカルトライアルの専門家が必要であり、統計家がセーフティネットを構築
していくことが必要」と語った。
CPIは、新薬開発投資が膨らむ一方でフェーズ3の成功確率や承認新薬数が低
下する状況を背景に、米国FDAが臨床開発の効率化、迅速化のための研究とし
て04年に提唱したもの。個々の医薬品の開発から産業化までを視野に入れてい
る。バイオマーカー、ファーマコゲノミクス、サロゲートマーカー、コンピュ
ータのモデリングといった最新技術を駆使し、薬剤開発の成功確率を向上させ
るのが狙いだ。
臨床試験の迅速化に向けて、国内ではアジアなど海外試験への参画が課題とな
っているが、竹内氏は「グローバル試験に参加すると複雑な試験デザインを組
む必要が出てくる。その場合、薬剤が承認される前に暴露される患者数が非常
に少なくなる。有効性に関しては海外データを使いながらある程度は予測でき
るが、民族に特異的な副作用を少数の患者から予測することは難しく、患者の
安全性をいかに担保していくかが重要な問題」と説明した。
その解決方法として「承認後はEDCのシステムを使い、セーフティネットを使
いながら薬剤を服用した患者をモニタリングしていく、また承認後は科学的に
基づくファーマコビジランスの考え方が重要になる」と指摘。今後はアジア諸
国で安全性に関するデータベースが出てくる可能性はあると期待感を示した。