エンブレルの市販後全例調査 副作用発症率はレミケードと同等
公開日時 2007/05/17 23:00
ワイスと武田薬品工業は5月17日、関節リウマチ(RA)治療薬エンブレルの市
販後全例調査結果を発表した。副作用、重篤な感染症の発症率は同じ生物製剤
のレミケード(田辺製薬)の全例調査結果と同等で、懸念されていた自己注射
による副作用の発症率の上昇は確認されなかった。
副作用の発症率は30.64%(2173例)で、重篤な副作用は5.68%(403例)。呼
吸器感染症5.56%(367例)、皮膚・軟部組織感染症0.56%(40例)が多かっ
た。前者の内訳は細菌性肺炎1.35%(96例、レミケードは2%)、結核0.1%
(7例、同0.3%)など。
一方、他の抗リウマチ薬と併用すると、エンブレル単剤に比べて、副作用の発
症率が低いことが分かった。エンブレルのみでは35.3%、エンブレル+抗リウ
マチ薬で28.8%、エンブレル+MTX(メトトレキサート)で27.0%。
EULAR基準改善度を使用した有効性は、投与4週後から76.2%で観察され、24
週目では84.1%(著効28.9%、有効55.2%)。MTXと併用するとさらに効果が
高まることも示された。また、レミケードで効果が不十分な患者にエンブレル
を投与すると、84.9%という高い効果を示したことも報告された。
調査は05年4月から実施され、世界最大規模となる1328施設、1万3477人が登
録された。回収症例は7091人。結果を踏まえ、ワイスは納品施設をこれまでの
500~600施設から今後3000施設に拡大するとともに、担当MRも100~200人から
400人に強化する。武田薬品は従来どおり、全MR1600人が担当。売上高は両社
あわせて114億円(06年度)から、今年度は80%増を見込めるとした。