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メディ・パルとアルフレッサ統合白紙に 経済環境の悪化も遠因

公開日時 2009/01/12 23:00

売上高約4兆円もの巨大卸の誕生ともくされた医薬品卸トップのメディセオ・
パルタックホールディングスと第2位のアルフレッサホールディングスの合併
が1月9日、白紙となった。当初から巨大卸が誕生すれば市場が寡占状態にな
ることが懸念されており、両社は公正取引委員会に事前相談していたが、公取委
の審査が予想以上に長引き、当初計画していた4月1日の合併は難しいと見た
うえに、延期しても経済環境、医薬品卸の経営環境の悪化で当初見込んだ収益・
費用面のシナジーが得られないと判断し、合併を断念した。

両社は9日、昨年10月10日に締結した合併基本合意書の合意を解約するこ
とを取締役会で決議し、公取委への事前相談も取り下げることを発表した。記
者会見したメディ・パルの田辺源一郎代表取締役副社長とアルフレッサの長谷
部省三取締役専務執行役員は、「誠に残念」と語った。今回の破談は、企業文
化や体質など相性の問題ではないとし、審査期間が長引き、収益面で大きなリ
スクを抱えることが理由だとした。

公取委は、売上高やシェアなどの資料の提出を受け競争制限になりえないかな
ど合併の妥当性を審査する際、併せてメーカーや医療機関などのヒアリングも
実施。これは一次審査で、二次審査があることも両社は当初から折り込んでい
たものの、ヒアリングに予想以上に時間がかかったのが「見込み違い」(長谷
部氏)となった。公取委も「市場が複雑だった」(企業結合課)とし、ヒアリ
ングに手間取ったことを示唆している。

そして二次審査への移行が伝えられたのが12月下旬。90日以内に回答が示され
るとはいえ、それも求める資料を全て揃ったと公取委が判断してから起算され
るため、両社は当初予定していた4月1日の合併は難しいと判断した。

寡占を避けるための一部事業の切り離し、合併延期などをせず、白紙したこと
について田辺氏は「延期しても、両社は得意先が重複しており、そんな中途半
端な状態では事業は続けられない。引いては収益を圧迫するだろう」と説明。
加えて長谷部氏は「昨年10月当初は、延期しても早期の統合効果はあると考え
ていた。しかし、金融危機に端を発する経済危機、社会環境や雇用など経済環
境の激変、我々卸の経営環境の厳しさから、(それが今後悪化する中では)当
初描いていた統合効果の発現はかなり難しくなってくるだろう」と述べ、合併
にはつきものの人員削減も難しい状況になるなど経済環境の悪化も遠因である
ことを示唆した。

とはいえ医薬品卸には規模の拡大は迫られている。今後の経営戦略について田
辺氏は「これから社内で検討する。利益率は低下し、コストの高い卸はついて
いけない。精一杯効率化をする。合併だけが全てではない」と述べた。長谷部
氏は「全く同じだが、M&Aなど経営統合の手法を全て放棄するわけではない。
従来以上にそういう可能性も追求していきたい」と話した。

統合が実現すれば、武田薬品の製品の取り扱いシェアが他社より突出し、武田
は当初から好意的な見方を示していた。今回、統合が白紙なったことについて、
武田は本紙に次のようにコメントした。

「公取委の審査方針を受け、両社が慎重に協議し判断された結果であると考え
ております。両社におかれましては、今後とも医薬品の安定供給を通じまして、
さらなる企業価値の向上に努められることを期待しております。」

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