NBI/アステラス ミカルディスとミコンビ両剤で718億円目指す
公開日時 2009/07/02 23:00
日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)とアステラス製薬は2日、ARBのテル
ミサルタン+サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドの合剤である「ミ
コンビ配合錠」の発売記者説明会を東京都内のホテルで開き、発売初年度の売
上高30億円を目指すことを明らかにした。高血圧治療の選択肢を拡充すること
で、同社が販売するミカルディス(一般名:テルミサルタン)と合わせた“テ
ルミサルタンファミリー”としてブランドイメージアップを狙う。ミカルディ
スとミコンビ両剤で、決算ベース718億円の売上高を目指す考え。
ミコンビは、テルミサルタン40mg+ヒドロクロロチアジド12.5mgの「ミコンビ
配合錠AP」と、テルミサルタンの1日最高用量である80mg+ヒドロクロロチア
ジド12.5mgを組み合わせた「ミコンビ配合錠BP」の2用量。2剤の高用量を組
み合わせることで、強力な降圧効果を狙った。同社のデータによると、目標血
圧値である収縮期血圧<140mmHgとなるか、10mmHg以上の低下をみとめた症例は、
ミコンビ配合錠AP投与患者の87.5%、ミコンビ配合錠BPでは93.7%と高率だっ
た。
会見で講演した愛媛大大学院病態情報内科学の檜垣實男氏は、これまで高血圧
治療では十分な降圧が得られないことが課題だったと指摘。「(ミコンビ配合
錠は)最も強力な合剤」と評価した。その上で、テルミサルタンには他のARB
にない効果として“PPARγ”刺激作用があると説明。ARBのもつ抗動脈硬化作
用と合わさり、作用がより強力になるとの考えも示し、「(ARBの臓器保護効
果に)プラスアルファした効果を強く期待できる」と述べた。
一方、安全性については、国内の臨床試験に組み込まれた421例を対象にする
と、副作用発現率は11.2%。約1%の患者に高尿酸血症がみられた。そのため、
ミカルディスとミコンビを比較したデータを提示。尿酸血漿の上昇は、ミカル
ディス単剤投与に比べると少し多いものの、他の配合剤と同様の傾向であると
した。懸念される血清カリウム値やインスリン抵抗性に対する影響についても
「糖尿病の新規発症を増加させるとのデータはない」(檜垣氏)とし、安全性
を強調した。