神奈川県内科医学会が提言 情報共有のあり方で製薬業界に呼びかけ「ともに議論を」
公開日時 2016/08/01 03:53
神奈川県内科医学会は7月29日までに、「医療界の情報共有のあり方について考える」と題した提言をまとめた。提言では、「製薬業界が定めた自主規制が過剰となり、明らかに行き過ぎと思われる規制が見受けられる」と明記。臨床医にとって必要な情報が届かない事態になっていると指摘した。その上で、実地臨床医の意見も取り入れながら、医療界の新たな情報共有のあり方を模索することが必要と強調した。神奈川県内科医学会の宮川政昭会長(宮川内科小児科医院院長)は本誌取材に対し、「製薬業界内だけで議論するのではなく、医療関係者と産業界がともに議論し、最適な形にすることが必要ではないか」と製薬業界に呼びかけた。研究会・講演会がプロモーションコードや公競規に縛られる中で、これまでと違った新たな情報共有のあり方を模索したい考えだ。
以下の関連ファイルに、提言を掲載。(8月1日のみ無料、その後プレミアム会員のみダウンロードできます)
提言では、「医薬品の適正使用は適切な薬剤情報なしに、その選択はあり得ない」と指摘。医薬品の製剤としての情報だけでなく、投与する患者の情報を含めた、いわば“医療情報”とも言える情報が必要だとした。市民公開講座を含めた研究会・講演会もこうした目的で実施することが必要としている。
製薬業界については、「研究者・医療関係者・患者団体等と相互の信頼関係の中で、最適な医療が推進されるよう行動することが望まれる」とした上で、「最近の動向をみる限り、社会の信頼に応えていくために、患者を含む、あらゆる立場の人たちと対話するという視点が抜け落ちている」と指摘した。
◎新たな形の講演会や研究会、臨床研究のあり方を考える時がきている
研究会・講演会をはじめとした情報共有については、「製薬企業が自らの業界のみで議論するのではなく、すでに自らが医療者であるという自覚のもとに、すべての人々と共に、新たな形の講演会や研究会そして臨床研究のあり方を考える時が来ているのではないだろうか」と指摘。「今こそ、あらゆる人々が一緒に、真の社会貢献に対する議論を高めていく時ではないだろうか。それはすべて患者を中心としたというより、人を中心とした医療の新しい道を探求する話し合いになるはずだ。共に考え、共に悩み、共に励ましあい、共に行動する、医療者の集まりが望まれる」と結んでいる。