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バイオシミラー使用促進へ 厚労省・安藤課長「アクションプランを作り上げる」 体系立った議論進める

公開日時 2022/04/05 04:51
厚生労働省医政局経済課の安藤公一課長は4月4日、バイオシミラー協議会主催のバイオシミラーフォーラムで講演し、バイオシミラーの使用推進に向けて、「最終的には、アクションプランのような形で行動計画として作り上げていくことが必要ではないか」との考えを示した。政府は、バイオシミラーの使用促進に向けた目標を定めることを求めている。安藤課長は、「今年度中(22年度中)に目標設定について行うスケジュール感」とした。そのうえで、バイオシミラーの使用促進を阻む課題を抽出し、それぞれの課題に対する対応策を立案する考えを示し、「目標設定に加えて、体系立った形で議論を進めていきたいと現時点では思っている」と述べた。

先行品を含めた市場におけるバイオシミラーのシェアは約24%(20年度)で、使用浸透は十分とは言い難い状況にある。薬剤費10兆円のうち、バイオ医薬品は約20%を占めており、バイオシミラーのさらなる浸透も求められている。政府は、昨年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に「バイオシミラーの医療費適正化効果を踏まえた目標設定の検討」を盛り込んだ。

◎「体系立って議論を進めていかなければならないという問題意識を私自身、持っている」

シンポジウムに登壇した医師、薬剤師の立場からの課題を踏まえ、安藤課長は、「もう少し体系立って議論なり、政策なりを進めていかなければならないのではないかという問題意識を私自身、持っている」と説明。「普及啓発を広めていかなければならないというのは、もちろんお金の問題だけではないが、医療保険の持続可能性という意味でもやはり、バイオシミラーの置き換えを進めていかなければならないだろうと考えている」と述べた。「その大前提としてのバイオ医薬品について産業政策という意味でも日本の生産力を高めていかなければならない」と付言した。

バイオシミラーの使用浸透に向けて、国民や医療関係者への普及啓発の重要性など、医療従事者、患者・国民、保険者などそれぞれのステークホルダーで様々な課題も指摘されている。
「いざ進めようと思うと、様々な壁がある。再度そこについては体系だって整理したうえで、目標設定を含めて具体的にどういった対策を講じていくのか。様々な方がかかわる話なので、行政だけで独自で決めるということではなく、様々な方の意見を聞きながら決めていく。最終的には、アクションプランのような形で行動計画として作り上げていくことが必要ではないか」と続けた。

バイオシミラー使用促進の新たな目標については、「まず目標があって、論理的にはリンクする形でインセンティブ策を考えるべきだと私も思っている。具体的にどういった形のインセンティブがいいのか。診療報酬というのはもちろん一つの候補としてあがってこようかと思うが、具体的にというところまでできていないので、関係者の方々と色々議論させていただければ」と述べた。

なお、厚労省が昨秋策定した医薬品産業ビジョン2021では、バイオシミラーの使用促進の新たな目標として、「収載されたバイオシミラーの成分の全量が当該バイオシミラー収載時点の先行バイオ医薬品の価格に基づき取引されるとした場合の取引額から、実際の先行品とバイオシミラーの取引額の合計額との差(取引額は薬価ベースで算出)」を指標とされており、薬価ベースでの医療費適正化効果額を指標とする考えが示されている。

◎日医・宮川常任理事 課題解決の答えは「地域医療の中にあり」 課題解決を実践へ

日本医師会の宮川政昭常任理事は、バイオシミラーの使用促進に向けて、理解はできても普及するほど、地域医療の現場に国のメッセージが十分届いていないと指摘した。「色々言っているが、メッセ―ジ性がない。コミュニケーションが十分できていない気がする」と述べた。そのうえで、「バイオシミラーはなにか。どのような利点があって作用するか、患者にとって何があるかということをちゃんと話せるような体制を作っていかないといけない。国そのものが仕組みを業界と一緒に作っていくことが大事だ。地域医療の中に答えを探さないと、バイオシミラーに将来はない」と述べた。

神奈川県内科医学会会員286人を対象に実施したアンケート調査結果を紹介。「バイオシミラー」を「よく知っている」と回答したのは15.7%だったことを紹介。「関心はあるが情報が少ない」、「イメージがわかない」、「MRからの説明がない」などの回答も寄せられたという。宮川常任理事は、“同空間異光景”という造語を引き合いに、同じ空間であっても医療者が見る光景と患者の見る光景は、同じように見えて全く違うと指摘した。例えば、医師が医療費削減や患者の経済的負担軽減を考慮し、バイオシミラーの使用を薦めても、高額療養費があるために自己負担が変わらず患者が先行品の使用を希望するケースを説明。「高額療養費・公費負担の壁」があると指摘した。こうしたギャップを埋めるために、基幹病院と地域医療機関、薬局との連携によるフレームワークの構築や、医薬品アクセスの確保などの重要性を強調した。

そのうえで、「壁の存在は、皆十分理解している。ずっと言われていることで、そろそろ解決のためのアクションプランを立て、道筋に乗せることを考えていかないといけない。実践的な議論をしていくべきだ」と指摘した。

これに対し、安藤課長は、「大前提として宮川先生と全く同じ意見で、実践の段階にきていると考えていて、具体的な方法論を考えるべきだ」と応じた。そのうえで、「ステークホルダー様々な方がいるので、当然、医師会、薬剤師会の先生方も含めて一堂に会していただき、具体的に誰に対して、どういう材料を使って何を発信していくのかという具体的な方法論について、全体をとりまとめるのは行政で汗をかくべきだと思っているが、そういった形で実践に移していく段階だ。いままでもやっていなかったわけではないが、もう少し体系だった形で進めていったほうがいいのではないかと個人的には思っており、それを一歩一歩やっていきたい」と述べた。
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