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日医・松本会長 トリプル改定議論へ「医療・介護連携ですべての世代が安心して暮らす地域づくりの礎に」

公開日時 2023/01/12 04:51
日本医師会の松本吉郎会長は1月11日、2024年度に予定される診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬改定のトリプル改定について、「2025年には団塊の世代全員が後期高齢者となることから、医療と介護が連携してすべての世代が安心して暮らせる地域づくりの礎にすべき」との考えを示した。「診療報酬は医療提供体制をしっかり支えていくための原資だ」と述べ、年末に行われる予算編成では、「その財源確保が重要な課題となるだろう」との認識を示した。昨年末に大臣折衝で合意された23年度薬価改定と同時に、オンライン資格確認と医薬品の安定供給をめぐる臨時的・特例的な対応がなされた。松本会長は薬価改定の厳しさを指摘したうえで、技術料に一定の還元がなされたことから、「一定のご配慮をいただいたものと評価している」と述べた。

◎23年度改定は「高度な政治的判断」 技術料に一定の還元「一定の配慮をいただいた」

23年度薬価改定では、平均乖離率の0.625倍超(乖離率4.375%超)を対象とする一方で、新薬創出等加算や不採算品再算定について臨時的・特例的な対応がなされた。松本会長は、「医療現場では、物価高騰や医薬品の安定供給の課題が日常診療に大変大きな負担を与えている状況のなかで、前回の中間年薬価改定(21年度改定)と同様な改定対象および配慮がされたことは、非常に厳しいものと考えている」との見解を表明。「現在安定供給に支障がある中で、医療現場に与える影響がさらに大きくなることを懸念している」と述べた。

大臣折衝では同時に診療報酬上の対応として、オンライン資格確認の導入・普及の観点からの追加的加算と、医薬品の供給不安のなかで加算の上乗せなどの措置が講じられた。松本会長は、「技術料に一定の還元がなされた」と説明。「高度な政治的判断となったが、政府与党をはじめ関係者の方には、実態を理解いただけたものと実感しており、一定のご配慮をいただいたものと評価している」と述べた。

◎24年度は「医療界にとって大変重要な年」 

24年度のトリプル改定が控えるなかで、23年は議論が加速する年となる。松本会長は、「24年度には診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が行われるほか、医療計画、介護保険事業計画、健康増進計画等が開始され、さらには医師の働き方改革として、時間外労働の上限規制の適用が始まるなど、医療界にとっては大変重要な年となる」と表明。トリプル改定に際しては、「まずは、22年度診療報酬改定が医療現場に与えた影響を検証したうえで、24年度改定を考えることが基本だ。国民の健康と命を守るためには国民皆保険の持続性が大変重要だ」と述べ、関連審議会・検討会で議論を積み重ねていく姿勢を強調した。

◎かかりつけ医機能発揮へ 医師も「国民に選ばれるための努力が今まで以上に求められる」

かかりつけ医機能が発揮される制度整備をめぐっては、改正医療法案の通常国会への提出も予定されており、議論の場が国会へと移る。松本会長は、「かかりつけ医はあくまで患者さん自身が選ぶものであって、あらかじめ誰かによって決められるものではないと思う」と強調。「フリーアクセスにおいて、国民がこの制度を活用して適切な医療機関を自ら選択できるよう支援を行うことが必要だ。制度によって縛っても決してうまくいかないと考えている」と述べた。

そのうえで、「私ども医師も、いまのままでいいというわけではないと思う。国民に選ばれるための努力がいままで以上に求められる。日医かかりつけ機能研修制度を受講するなど自己研鑽に励み、自己のレベルを上げていく。自己の持つ機能を広げていく。その上で地域の医療を面として支えるために役割分担をしながら連携していくことが求められる。これを医師会としてしっかりと推進していく」と強調した。

◎医療DX「手段で合って目的ではない」 安心・安全で質の高い医療と医療現場の負担軽減を

医療DXも、入り口となるオンライン資格確認の原則義務化をはじめ、23年に議論が大きく進むことが想定されている。松本会長は、「医療分野のデジタル化を進めることは非常に大切と思うが、デジタル化は手段であって目的ではない」と強調。「患者や医療現場にとって資するものでなければならない。デジタル化によって情報連携や医療の効率化を進めて、より安心・安全で質の高い医療を提供する、医療現場の負担軽減にもつながる。これが日本医師会の考える医療DXであり、その推進が今後ますます重要になってくる」との考えを示した。政府の示す方向性についても、「今後も日本医師会の考え方と合致する政府の政策については全面的に協力をし、より良い方向にしっかりと進めたい」と述べた。

一方で医療DXを進めることで、「費用や労力などの面で現場の負担感に増大が増大してすることはあってはならない」と指摘。「医療DXをなるべく早く推進していく必要性は理解できるが、課題も大変多く持っており、拙速に進めてしまうのは問題だ。医療現場に無理強いすることなく、インセンティブを示しながら問題が起こらないようにしっかりと進めていただきたい」と述べた。

松本会長は23年の重要課題として、①新型コロナウイルス感染症、②かかりつけ医機能、③医療DX、④医師の働き方改革、⑤トリプル改定-をあげた。

◎最重要課題は組織力強化「国民視点に立った医療の実現が目的」 常任理事4人増員へ

医師会内の最重要課題としては、「組織力強化」をあげた。「医師会組織強化の目的は、国民視点に立った医療の実現にある」と強調。「地域医師会と日医との連携をより緊密にする中で、地域現場の声を踏まえた政策提言を行って、医師の期待に応えられる医師会、そして国民の信頼を得られる医師会につながる努力をしていきたい」と表明した。そのうえで、「日本医師会は、医師個人の資格で加入する我が国唯一の医療界を代表する組織であり、医師たるものには全て医師会活動に参画してほしい」と呼びかけた。

また、医師会の会務が増大、多様化していることなどから、常任理事を4人増員することも説明。「今後必要な手続きを経て、早ければ6月の定例代議員会で、新たな常任理事4人の選出を行いたい」と述べた。


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