大塚製薬 「AVP-786」主要評価項目達成せず アルツハイマー型認知症のアジテーション対象で
公開日時 2024/02/14 04:50
大塚製薬は2月13日、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションで米国子会社が開発を進めている新規化合物「AVP-786」の第3相臨床試験で主要評価項目を達成できなかったとの速報結果を発表した。Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(OPDC)のジョン・クラウス上級副社長兼医学責任者は、「試験結果は残念なものだった。今後試験結果を詳細に解析し、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療におけるAVP-786の将来的な可能性を判断する」とコメントしている。
試験は、中程度から重度のアルツハイマー病に伴うアジテーション症状(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)を有する50~90歳の患者約600例を対象とした12週間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験。AVP-786の有効性、安全性および忍容性を検討した。主要評価項目は、アジテーション症状29項目の出現頻度を評価する指標(CMAI総スコア)のベースラインから試験期間である12週間目までの平均変化量を据えた。その結果、主要評価項目についてAVP-786投与群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められなかった。
有害事象のうち、発生率が5%以上で、プラセボ群よりも高率だったものは転倒で、AVP-786高用量群で16例(8.6%)、AVP-786低用量群で18例(9.1%)、プラセボ群で6例(2.8%)だった。試験中に報告された死亡例は、AVP-786低用量群で1例(0.5%)、プラセボ群で3例(1.4%)だった。高用量群での死亡例は認められなかった。
大塚製薬は今回の臨床試験結果について、今後主要な医学誌に論文として投稿する予定としている。