小野薬品 CMに込めた「新薬で未来をつくる」 挑み続ける企業姿勢を表現
公開日時 2024/08/30 04:52
まだこの世にない革新的な医薬品を生み出す―。小野薬品は何気ない日常の風景と創薬への挑戦を描いたCMを通じて、「新薬をつくる会社」として挑み続ける企業姿勢を表現する。CMでは映像やコピー、ストレートな音楽といった一つひとつの要素も印象的だ。シーンに込められた思いを企画から携わった同社PR課の森歓菜さんと座喜味真世さんに聞いた。
小野薬品のCM「新薬で未来をつくる」編は2023年4月から公開。CMでは、再会を喜ぶ母と娘や、犬と一緒にジョギングするカップルなど国籍も年代も様々な人たちが登場する。そこに重ねられるのは日夜、研究に励む研究員の姿だ。創薬で何気ない日常を支えていくというメッセージが込められている。CMの狙いについて森さんは「小野薬品は新薬を生み出し、これからも創薬への挑戦をし続けていく会社。その姿を患者さんやそのご家族だけではなく、日常に関わる身近な存在として、広く伝えたかった」と強調する。
◎製薬企業らしくない? ロックナンバーで印象付ける
それぞれの場面ともに印象的なのがロックバンド・サンボマスターの「ロックンロール イズ ノットデッド」だ。「♪何度だって立ち上がるんだよ」とCMを盛り上げるが、実はここもこだわりの一つ。堅くまじめになりがちな“製薬企業のCM”のイメージを覆す力強いロックナンバーで「常に前向きに、未来に向けて挑戦し続ける姿を表現したかった」(森さん)という。思い切った選曲はCM企画に携わった森さんたちにとっても“挑戦”だったが、「背中を押される」「前向きな印象に変わった」と社内の評判も上々だったそうだ。
◎極寒の雪山での撮影 わずか一瞬の青空が「説得力のあるワンシーン」に
シーンの中でもチャレンジングだったのが、雪山に挑む登山家の姿を描く場面。北海道最高峰の大雪山系・旭岳を舞台に撮影された。時期も真冬とあって悪天候や地吹雪に見舞われ、撮影は難航。4日間のスケジュールの中、最終日のわずか10分間だけ訪れた青空をなんとか撮ることができた。極寒の現場に同行した座喜味さんは「粘りに粘ったクルーの努力があって、説得力のあるワンシーンになった」。ただ、それほど苦労したワンシーンも30秒CMで使われたのは1秒足らず。わずか一瞬のために積み重ねた時間を考えると、成功確率が数万分の1ともいわれる創薬の世界とどこか重なるようだ。
◎「BREAK THROUGH ONO」 創業300年超も「絶えず挑戦してきた歴史」
実はこのCM、6月から小さなリニューアルが加えられている。最後を締めくくるキャッチコピー「BREAK THROUGH ONOは挑戦で、未来を変える」は6月から新たに打ち出されるようになった。この言葉はCMに限らず企業の活動全体を貫くコーポレートスローガンでもある。「未来に向かって、創薬に挑み続ける。創業から300年以上続くのは伝統を守るだけでなく、挑戦を絶えずしてきたからこその歴史でもあると思うんです」。森さんの一言には創薬を生業とする企業の矜持が詰まっていた。