24年上半期 国内売上500億円超に7製品 1位はキイトルーダの880億円
公開日時 2024/08/28 04:52
2024年上半期(1~6月)に国内売上が薬価ベースで500億円を超えたものが7製品あることがわかった。IQVIAが公表している四半期ベースの売上上位10製品の売上データをミクス編集部が集計した。7製品の中には、特例拡大再算定により11月1日付で約13%の薬価引下げを受けるデュピクセントも含まれるが、同剤は小児アトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹の適応追加で急拡大している。7製品で年間売上が1000億円を超える可能性がありそうだ。
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◎キイトルーダは17.0%増 オプジーボは9.1%減、再算定類似品による薬価下げの影響大きく
24年上期売上の1位はがん免疫療法薬・キイトルーダで前年同期比17.0%増の880億円(1億円未満切捨て)だった。非小細胞肺がんで処方を伸ばしつつ、22年9月に適応追加した子宮頸がんや乳がんにおける術前・術後薬物療法、24年5月の胃がんに対する化学療法との併用療法や胆道がんに対する化学療法との併用療法などで処方を獲得し、成長が加速した。
2位は同じくがん免疫療法のオプジーボだが、9.1%減の743億円だった。消化器系のがんを中心に処方を伸ばしているが、4月の薬価改定で市場拡大再算定を受けたバベンチオの類似品として15%の薬価引下げを受けた影響が大きかった。なお、キイトルーダはルールに基づきバベンチオの類似品とは取り扱われず、4月改定では新薬創出等加算品として薬価が維持された。
◎上期500億円超 リクシアナ、タケキャブ、イミフィンジ、デュピクセント、タグリッソも
3位は抗凝固薬・リクシアナ(24年上期売上697億円、前年同期比12.1%増)、4位は抗潰瘍薬・タケキャブ(582億円、4.2%増)、5位はがん免疫療法薬・イミフィンジ(566億円、伸び率算出できず)、6位はアトピー性皮膚炎・喘息等治療薬・デュピクセント(535億円、伸び率算出できず)、7位は抗がん剤・タグリッソ(531億円、3.3%減)――だった。
リクシアナは新薬創出等加算により薬価が維持されたこともあり、24年1~3月は前年同期比10.2%増、4~6月も同13.8%増と2ケタ成長した。タケキャブは4月に3.7%の薬価引下げを受けたものの、4~6月は同4.9%増と成長を維持し、上半期も4%台の成長を果たした。
イミフィンジは23年1~3月の売上がトップ10圏外で非開示(IQVIAは四半期及び通期の売上上位10製品の売上のみ開示している)だったため、24年上半期の伸び率は計算できなかった。ただ、四半期ベースでは、24年1~3月は前年同期比64.5%増、4~6月は同5.3%増で、24年2月の特例拡大再算定による25%の薬価引下げの影響を大きく受けたことは確認できた。イミフィンジは特に胆道がんと肝細胞がんの適応で成長している。
デュピクセントも23年上半期の売上が非開示のため、24年上半期の伸び率は計算できなかった。四半期ベースでは、24年1~3月は前年同期比56.6%増、4~6月は同55.8%増と成長著しい。4月の薬価改定では新薬創出等加算と小児加算により薬価が5.0%引き上げられたが、11月に特例拡大再算定による薬価引下げが予定されている。
タグリッソは23年6月に特例拡大再算定により10.5%の薬価下げを受けた影響が続き、24年1~3月は前年同期比6.2%減、4~6月は同0.7%減となり、24年上半期は3%台の減収となった。
◎IQVIA フォシーガも「年間1000億円超が見込まれる」 上期売上476億円も拡大続く
IQVIAは、四半期ベースで2ケタ成長を続け、24年4~6月の売上が250億円を超えたSGLT2阻害薬・フォシーガも「年間1000億円超が見込まれる」と分析している。ミクスの集計では、フォシーガの24年上期売上は476億円だった。フォシーガは24年1~3月に前年同期比32.9%増の221億円、4~6月は同23.7%増の255億円――と拡大が継続している。特に慢性腎臓病(CKD)の適応で処方が伸びており、4月に4.9%の薬価引下げを受けた影響を数量増で補った。