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第Ⅹa因子阻害薬・エドキサバン 心房細動患者の脳卒中発生抑制効果 東アジア人対象でワルファリンと同等の有効性示す

公開日時 2014/03/24 03:53

第Ⅹa因子阻害剤・エドキサバンの非弁膜症性心房細動患者における脳卒中発生抑制効果を検討した臨床第3相試験「ENGAGE AF-TIMI48」の東アジア人1943例のサブ解析の結果、高用量、低用量ともにワルファリンと同等の有効性を示すなど本解析と一貫した結果であることが示された。大阪医療センター臨床研究部の是恒之宏氏が第78回日本循環器学会学術集会(3月21~23日、国際フォーラム)で3月21日に開催された「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで報告した。


ENGAGE AF TIMI-48は、46か国1393施設から登録された、CHADS2スコアが2以上で12か月以上の罹患歴がある非弁膜症性心房細動患者2万1105例を対象に行われた。▽ワルファリン群(INR2.0~3.0)、▽エドキサバン高用量(60mg1日1回)群、▽エドキサバン低用量(30mg1日1回)群――の3群に分け、治療効果を比較した。▽推定クレアチニンクリアランス(CrCL)が30~50mL/min▽体重60kg以下▽ベラパミルやキニジンなどのP-糖蛋白質阻害薬を併用――のいずれかに該当した症例では、エドキサバン半量(60mg群→30mg、30mg群→15mg)投与とした。主要評価項目は、脳卒中(虚血性、出血性)+全身性塞栓症。平均追跡期間中央値は2.8年間。


本解析では、高用量、低用量ともに脳卒中の発症抑制効果においてワルファリンへの非劣性を示し、大出血はいずれも優越性を示した。にワルファリンへの優越性を示した。一方で、虚血性脳卒中の発生率は、エドキサバン低用量でワルファリン群を上回ることも報告されていた。


◎低体重などから半数が減量選択


今回報告されたサブ解析では、日本人は99施設から1010例を含む東アジア人を対象に解析がなされた。各群は、ワルファリン群644例(うち、日本人症例:337例)、エドキサバン高用量群646例(336例)、エドキサバン低用量群653例(337例)。


患者背景は、年齢が71歳、CHADS2スコア3点以下が76.5%(1487例)、4~6点が23.5%(456例)、クレアチニンクリアランス(CrCL)≤50mL/minが30.0%(583例)だった。東アジア(1943例)と、それ以外の地域(以下、非東アジア、1万9162例)との間で違いがみられた患者背景としては、女性が東アジアで28.0%(545例)、非東アジアで39.1%(7495例)、平均体重が67.0kg、85.6kg、体重60kg以下の症例が30.6%(594例)、7.8%(1489例)、アミオダロンの投与が4.4%(85例)、12.6%(2407例)だった。ランダム化時点での減量した症例が46.9%(912例)、23.2%(4444例)で、東アジアで多い傾向を示した。


ワルファリン群の国際標準化比至適範囲内時間(TTR、INR2.0~3.0)は、67.1%、日本では72.3%だった。日本では、GLに準拠した治療(70歳以上でINR:1.6~2.6)下でのTTRは75.9%だった。


主要評価項目の脳卒中+全身性塞栓症の発生率は、ワルファリン群の2.62%、エドキサバン高用量群1.34%(ハザード比(HR):0.53、95%CI:0.31-0.90)、低用量群2.52%(HR:0.98、95%CI:0.63-1.54)で、高用量群でワルファリン群に比べ、有意な抑制効果を示した(高用量群p=0.02、低用量群p=0.93)。


出血性脳卒中はワルファリン群1.23%で、非東アジアの0.41%に比べ、高率に発生した。エドキサバン高用量群0.46%(HR:0.37、95%CI:0.14-1.01)、低用量群0.26%(HR:0.22、95%CI:0.06-0.75)で、低用量群で有意な抑制がみられた(p<0.001)。虚血性脳卒中は、ワルファリン群1.31%(非東アジア:0.89%)、高用量群0.80%(HR:0.64、95%CI:0.28-1.46)と高用量群では抑制がみられたが、低用量群では2.26%と発生率が増加した(HR:1.77、95%CI:0.93-3.36)。致死的脳卒中はワルファリン群0.27%(非東アジア:0.28%)、高用量群0.13%(HR:0.48、95%CI:0.07-3.36)、低用量群0.13%(HR:0.48、95%CI:0.07-3.42)だった。


一方、主要な安全性評価項目である大出血はワルファリン群の4.80%、高用量群で2.86%(HR:0.61、95%CI:0.41-0.89)、低用量群で1.59%(HR:0.34、95%CI:0.21-0.54)でいずれの群も有意な抑制効果を示した(高用量:p=0.011、低用量:p<0.001)。頭蓋内出血はワルファリン群1.92%(非東アジア:0.74%)、高用量群0.60%(HR:0.31、95%CI:0.15-0.66)、低用量群0.46%(HR:0.24、95%CI:0.11-0.56)でいずれも有意な抑制を示した(p<0.001)。消化管出血は、ワルファリン群1.11%、高用量群1.01%(HR:0.91、95%CI:0.45-1.85)、低用量群0.72%(HR:0.67、95%CI:0.31-1.45)だった。消化管出血は、非東アジアでは高用量群でワルファリン群を有意に上回った(HR:1.27、95%CI:1.04-1.54、p=0.021)が、東アジアではこの傾向は認められなかった。そのほか、有害事象については有意な差は認められなかった。


日本人を対象にした解析では、主要評価項目(脳卒中+全身性塞栓症)の発生率がワルファリン群1.56%、高用量群1.47%(HR:0.95、95%CI:0.39-2.34)、低用量群2.24%(HR:1.46、95%CI:0.65-3.31)で、ワルファリン群の発生率は東アジア全体の解析よりも低い傾向がみられた。一方、大出血の発生率は、ワルファリン群4.03%、高用量群3.38%(HR:0.84、95%CI:0.51-1.40)、低用量群1.74%(HR:0.44、95%CI:0.24-0.82)だった。


◎是恒氏「高用量はワルファリンに遜色なく安全性も高い」腎機能に応じた用量選択示唆


結果を報告した是恒氏は、「高用量のデータをみると基本的には、ワルファリンに比べて遜色なく、安全性も高い」と高用量の有効性を強調した。その上で用量の使い分けについて、小規模で実施したPK/PD試験の結果ではCrCL 15~30mL/minの患者では15mgがほかの用量と同等の結果を示したことを引き合いに出しながら、「CrCLが50mL/min以上であれば60mg、CrCL 30~50mL/minであれば30mg、CrCLが30mL/minでは15mgという使い方が出てくるのではないか」と自身の考えを示した。


さらに、エドキサバン低用量群で虚血性脳卒中の発生率が増加した点については、「東アジアでは、(低体重などから)減量基準に達した数が多いことが影響している」との見解を示した。その上で、「試験全体をみると、安易に低用量にすると虚血性脳卒中が増える可能性があるというデータを見られたことも良かった」と述べ、患者に適した用量を選択することの重要性も強調した。
 

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