未熟児の赤ちゃんのための集中治療室NICU(neonatal intensive care unit)。今にも壊れてしまいそうな小さな新生児たちが集まるNICU で画期的な試みがはじまっている。

NICUに入院中の新生児の両親が毎日8時間以上自分の子どもの世話をするという、“Family Integrated Care” とよばれる実験プログラムが、カナダの20病院、オーストラリア・ニュージーランドの10病院で始まった。

このプログラムは、カナダのオンタリオ州トロント市にあるマウントサイナイ病院で、42人の未熟児を対象に実施されたパイロット・プログラム に基づいて設計されたものだ。両親がケアした未熟児と看護師がケアした未熟児を比較した実験プログラムでは、両親にケアされた未熟児は看護師がケアしたグループよりも25％増しで 体重が増加し、退院時には全員が母乳を飲めた。看護師がケアした子どもたちの11％は感染症にかかったが、両親がケアしたグループでは感染はなかった。

https://www.mountsinai.on.ca/care/nicu/family-integrated-care

プログラムへの評価は30病院での実証実験の終了を待たなければならないと考えられているが、すでに米国でもUCSFが同様の実験プログラムを実施すべくNIHに研究助成金の申請をおこなっている。
　

米国では新生児の8人に1人が未熟児あるいは予定日より3週間以上早く生まれると言われているが、新生児医療の進展で、現在では未熟児としてケアされるのは妊娠22週未満の場合で、このうち75％が退院する。