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新薬16製品が薬価収載へ C肝薬ソバルディに画期性加算100% 予測販売額は2年で約1000億円

公開日時 2015/05/14 03:52

厚労省の中医協・総会は5月13日、新薬16製品(16成分28品目)を薬価収載することを決めた。同省は20日に収載予定。

今回注目されたのは、ギリアド・サイエンシズのジェノタイプ2のC型肝炎治療薬ソバルディ錠で、未治療および治療歴のある患者に対する国内フェーズ3では、投与12週目のウイルス消失率は97%との結果が得られている。薬価算定ではその高い有用性と経口投与のみで治療可能とする治療方法の改善とともに、HCVの複製に関わるNS5Bポリメラーゼを阻害する国内初の作用機序であることから「画期性加算」の3要件に該当すると判断、100%の加算が認められた。その結果、薬価は1錠6万1799.30円(=1日薬価)と算定された。

そのほか、血管新生阻害作用を持つ抗がん剤として、初の胃がん適応の薬剤となるサイラムザ点滴静注液(日本イーライリリー)、経口のゴーシェ病治療薬サデルガカプセル(ジェンザイム・ジャパン)、根治切除不能な甲状腺がんの治療薬レンビマカプセル(エーザイ)、週1回のDPP-4阻害薬ザファテック錠(武田薬品)などが収載されることになった。

収載が決まった製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と収載希望会社名)。

ワントラム錠100mg(トラマドール塩酸塩、日本新薬)
効能・効果:「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疼痛を伴う各種がん、慢性疼痛における鎮痛」
薬価:100mg1錠 119.10円(1日薬価:357.30円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数46万人、販売金額 64億円
加算なし

既存のカプセル剤は1日4回投与だが、同剤は徐放性製剤で1日1回。

ノピコールカプセル2.5μg(ナルフラフィン塩酸塩、東レ・メディカル)
効能・効果:「慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」
薬価:2.5μg1カプセル1795.00円(1日薬価:1795.00円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数5.5千人、販売金額24億円
加算なし

14日処方制限適用外。選択的κオピオイド受容体作動薬。既存抗ヒスタミン薬などと異なる作用機序でそう痒を改善する。有効成分が同一の「レミッチカプセル」(製造販売元:東レ)が2009年に血液透析患者におけるそう痒症の適応で承認されている。

オプスミット錠10mg(マシテンタン、アクテリオンファーマシューティカルズジャパン)
効能・効果:「肺動脈性高血圧症」
薬価:10mg1錠1万4594.00円(1日薬価:1万4594.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数3.7千人、販売金額130億円
加算なし

血管の収縮に関与するエンドセリン受容体を阻害することで肺の血管を拡張し、病態を改善する。

ザファテック錠50mg、同錠100mg(一般名=トレラグリプチンコハク酸塩、武田薬品)
効能・効果:「2型糖尿病」
薬価:50mg1錠559.20円
        100mg1錠1045.10円 (1日薬価:149.30円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数71万人 、販売金額350億円
加算なし

通常、成人にはトレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与する。週1回投与製剤としては類薬のDPP-4阻害薬のみならず、経口血糖降下薬としても初めてとなる。

サデルガカプセル100mg(エリグルスタット酒石酸塩、ジェンザイム・ジャパン)
効能・効果:「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少、肝脾腫、骨症状)の改善」
薬価:100mg1カプセル 7万6925.90円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数40人、販売金額23億円

国内初のゴーシェ病に対する経口薬。ゴーシェ病は、酵素の不足または欠損により、体内にグルコシルセラミドが蓄積することで起きるもので、この薬剤は、蓄積物資の合成を阻害することで効果を発揮する。

レンビマカプセル4mg、同カプセル10mg(一般名:レンバチニブメシル酸塩、エーザイ)
効能・効果:「根治切除不能な甲状腺がん」
薬価:4mg1カプセル3956.40円
        10mg1カプセル9354.20円(1日薬価:2万2450.10円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数400人、販売金額17億円
有用性加算(II)(A=20%):加算理由「放射性ヨード製剤抵抗性の分化型甲状腺がんに対する有効性が示されたこと、標準的な治療法が確立しておらず予後の不良な疾患である甲状腺髄様がん及び未分化型甲状腺がんに対する適応が認められたことなどから、疾病の治療方法の改善が示されたと判断」

低分子化合物で、腫瘍増殖に関与する酵素を選択的に阻害して腫瘍の増殖を抑制する。

ポマリストカプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg(一般名:ポマリドミド)
効能・効果:「再発又は難治性の多発性骨髄腫」
薬価:1mg1カプセル4万2624.80円
         2mg1カプセル5万802.00円
         3mg1カプセル5万6294.50円
         4mg1カプセル6万548.00円(1日薬価:4万5411.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.5千人、販売金額71億円
有用性加算(II)(A=5%):加算理由「海外第3相試験で、無増悪生存期間及び全生存期間の有意な延長が認められたことから、疾病の治療方法の改善が客観的に示されていると考えられる。ただし、当該試験に日本人症例は含まれておらず、全生存期間は副次評価項目であったこと、及び国内臨床試験の症例数は限られていることを考慮して、限定的な評価とした」

サリドマイド誘導体で、▽アポトーシス誘導▽サイトカイン産生抑制▽細胞免疫の活性化▽血管新生抑制――などの作用により骨髄腫細胞の増殖を抑制する。

アシテアダニ舌下錠100単位、同舌下錠300単位(塩野義製薬)
効能・効果:「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」
薬価:100IR1錠67.10円
         300IR1錠201.20円(1日薬価:201.20円)
市場予測(10年後):投与患者数11万人、販売金額34億円
加算なし

一般名として特定のものはなく、ヤケヒョウヒダニ及びコナヒョウヒダニからそれぞれ抽出・調製した、ヤケヒョウヒダニエキス原末及びコナヒョウヒダニエキス原末を等量混合した錠剤。ほぼ同様の効能・効果の医薬品が皮下注製剤なのに対し、同薬は舌下錠となる。

ソバルディ錠400mg(ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
効能・効果:「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」
薬価:400mg1錠 6万1799.30円(1日薬価:6万1799.30円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数1.9万人、販売金額987億円
画期性加算(A=100%):加算理由「HCV ウイルス増殖を直接抑制する新規の臨床上有用な作用機序を有すると認められる。本剤はインターフェロン治療で効果不十分又は不耐容患者に対しても高い有効性を示したこと、既存治療法であるテラプレビルを含むインターフェロン治療で懸念される副作用リスクも低いと考えられることなどから、高い有効性、安全性及び臨床上の有用性が示されている。本剤は経口投与のみによる治療を可能とし、インターフェロン治療で一部の患者に必要とされている投与初期の入院等も必須ではないことなどから、治療方法の改善が客観的に示されていると認められる」

処方日数制限を28日とする。HCVの複製に関わる NS5Bポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。この作用機序は国内初。また、今回の効能・効果を持つ経口治療薬も国内初。通常、成人にはソホスブビルとして400mgを1日1回、12週間経口投与する。リバビリンと併用して使う。

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg、同400mg、同300mgシリンジ、同400 mgシリンジ(アリピプラゾール水和物、大塚製薬)
効能・効果:「統合失調症」
薬価:300mg1瓶(懸濁用液付)3万8212円
         400mg1瓶(懸濁用液付)4万6480円
         300mg1キット3万8271円
         400mg1キット4万6539円(1日薬価:1662円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.0万人、販売金額140億円
加算なし

持効性製剤で、通常、成人にはアリピプラゾールとして1回400mgを4週に1回臀部筋肉内に投与する。

サイラムザ点滴静注液100mg、同静注液500mg(ラムシルマブ(遺伝子組み換え)、日本イーライリリー)
効能・効果:「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」
薬価:100mg10mL1瓶7万5265円
         500mg50mL1瓶 35万5450円(1日薬価:2万311円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.5万人、販売金額500億円
加算なし

血管新生阻害作用を持つ抗がん剤として、初の胃がん適応の薬剤となる。同剤はヒト血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)-2に対するモノクローナル抗体。通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブとして1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。

オルドレブ点滴静注用150mg(コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、グラクソ・スミスクライン)
効能・効果:「コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属(他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る)による各種感染症」
薬価:150mg1瓶8261円(1日薬価:1万3768円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数90人、販売金額1.7千万円
有用性加算(II)(A=5%):加算理由「比較薬が有する適応菌種に加え、多剤耐性緑膿菌に対する適応が認められている。多剤耐性の緑膿菌感染症が医療上問題になっていることを踏まえると、本剤により治療方法の改善が示されていると判断する」

他の抗菌薬で効果が得られない多剤耐性グラム陰性桿菌による感染症に対する最終的な選択肢とされる。

ノボサーティーン静注用2500(カトリデカコグ(遺伝子組み換え)、ノボ ノルディスク ファーマ)
効能・効果:「先天性血液凝固第XIII Aサブユニット欠乏患者における出血傾向の抑制」
薬価:2500国際単位1瓶(溶解液付) 364万8446円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数12人、販売金額5.3億円

先天性血液凝固第XIII因子(以下、FXIII)Aサブユニット欠乏症は、FXIII Aサブユニットの量的・機能的な低下を特徴とする先天性の出血障害。同剤は国内初の遺伝子組み換えFXIII A サブユニット製剤で、欠乏したFXIII A サブユニットを補充することによって血液凝固カスケードを進行させ、止血を行う。

ガドビスト静注1.0mol/L 7.5 mL、同シリンジ5mL、同シリンジ7.5mL、同シリンジ10mL(ガドブトロール、バイエル薬品)
効能・効果:「磁気共鳴コンピュータ断層撮影における脳・脊椎造影、躯幹部・四肢造影」
薬価:60.47%5mL1筒 5114円
         60.47%7.5mL1筒7457円(1回薬価:4971円)
         60.47%10mL1筒9745円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数59万回、販売金額40億円
加算なし

ガドリニウムキレート化合物の造影剤で、これを血液中に投与することでMRI画像の血管像を見やすくする。

エクリラ400μgジェヌエア30吸入用、同400μgジェヌエア60吸入用(一般名:アクリジニウム臭化物、杏林製薬)
効能・効果:「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」
薬価:30吸入1キット3150.90円 (1日薬価:210.10円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数5.0万人、販売金額26億円
加算なし

処方日数制限を15日とする。通常、成人には1回1吸入を1日2回吸入投与する。長時間作用型ムスカリンM3拮抗薬(以下LAMA)で、LAMA吸入用製剤としてはスピリーバ、シーブリに次ぐ3剤目。

デュアック配合ゲル(一般名:クリンダマイシンリン酸エステル水和物/過酸化ベンゾイル、グラクソ・スミスクライン)
効能・効果:「適応菌種は本剤に感性のブドウ球菌属、アクネ菌で、適応症は尋常性ざ瘡(にきび)」
薬価:1g157.40円(1日薬価:314.80円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数120万人、販売金額51億円
加算なし

1日1回、洗顔後に患部に適量を塗布して用いる。配合されている2成分は単剤としては承認済み。
 

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