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薬食審・第一部会 2剤目の抗PCSK9抗体の承認了承 AZの抗血小板薬、NBIの3成分配合降圧薬は継続審議

公開日時 2016/05/30 03:52

厚労省の薬食審・医薬品第一部会は5月27日、新薬など6製品の承認の可否について審議し、4製品の承認を了承し、2製品は継続審議となった。継続審議となったのは、アストラゼネカ(AZ)が承認申請した抗血小板薬ブリリンタ錠(一般名:チカグレロル)と、前回の部会でも継続審議となった日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)が承認申請した3成分配合の降圧薬ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド配合)。同省は、ブリリンタ、ミカトリオの両剤とも次回7月に予定する同部会で、専門医の出席のもと、改めて審議する方針。

同省担当官によると、ブリリンタは2つの効能・効果で申請されたが、このうちのひとつの「経皮的冠動脈形成術が適用される急性冠症候群」に関して大きく2つの指摘が出た。ひとつは臨床試験の結果にばらつきがあるというもので、「非劣性が認められていない結果もある」との意見も出たという。もうひとつは、この効能・効果では、クロピドグレル硫酸塩(先発品名:プラビックス錠)など他の抗血小板薬の投与が困難な場合に限り投与できる薬剤と位置付けられるが、委員からは「クロピドグレルが使えない症例は、どれほどあるのか」との指摘があがった。ブリリンタを承認する意義に疑義が示された格好だ。

ミカトリオは前回4月20日の同部会でも、3成分を配合する臨床的意義をもっと調べた方が良いなどの意見が出て、継続審議扱いとなった。この日の部会で事務局は、配合成分の実臨床での使用実績を説明したが、委員から3成分配合剤の臨床ニーズがあるのか、との疑問があがったという。

また、ミカトリオはテルミサルタン80mg、アムロジピン5mg、ヒドロクロロチアジド12.5mg――を配合した薬剤で、患者に服用錠数が減るメリットはあるものの、用量が固定されるとのデメリットがあり、委員からこのデメリットを引き合いに、メリットを上回るものなのかといった意見もあがった。これは2成分配合剤より3成分配合剤の方が用量固定のデメリットが大きいのではないかとの指摘で、厚労省担当官も「3成分配合剤は今回が初めてのケースで慎重にみていると思われる。そもそも3成分配合剤はいるのか、との議論」と説明した。

承認が了承されたのは以下のとおり。

【審議品目】(カッコ内は成分名と申請社名)
 
ヘマンジオルシロップ小児用0.375%(プロプラノール塩酸塩、マルホ):「乳児血管腫」を効能・効果とする新効能・新剤形医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外では、この適応症で14年3月に米国、同年4月に欧州で承認済。
 
乳児血管腫は、血管内皮が急速に増殖し、ほとんどは5~7歳までに自然に消えるが、病変の大きさや発生部位によっては心不全や気道狭窄、視覚障害、臓器障害などを起こすことがある。この成分はβ遮断薬として知られるが、血管新生抑制作用などにより、特に増殖期の病態において効果を示す。重要な臓器、感覚器官に影響及ぼす推定患者数は年間800人。
 
ビムパット錠50mg、同100mg(ラコサミド、ユーシービージャパン):「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。15年1月現在、欧米など69の国と地域で承認済。
 
併用療法に用いるが、他の抗てんかん薬で認められる薬物相互作用が、この薬剤ではほぼ認められないのが特徴という。
 
プラルエント皮下注75mgペン、同150mgペン、同75mgシリンジ、同150mgシリンジ(アリロクマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症(ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外では欧米など33の国、地域で承認済。
 
血中のLDLコレステロール(LDL-C)値に影響を与える酵素PCSK9を標的にした抗体医薬。LDL受容体を分解するPCSK9に結合することで、分解を阻害し、LDL-Cを取り込みを促し、血中のLDL-C値を減少させる。承認されれば、4月に発売されたレパーサ皮下注に続き2剤目のPCSK9阻害薬となる。
 
デュオドーパ配合経腸用液(レボドパ/カルビドパ水和物、アッヴィ):「レボドパ含有製剤を含む既存薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動の改善」を効能・効果とする新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外では、16年2月現在、欧米など48カ国で承認済。
 
同剤は、コンピュータ制御式携行輸液ポンプを用い、胃ろうから有効成分を空腸内に直接持続注入する。それにより血漿中のレボドパ濃度を至適治療濃度域に安定させ、既存治療薬で制御が難しいかった運動症状を伴う日内変動について、誘発を抑えることが期待されるという。ポンプは承認済。
 
【報告品目】(カッコ内は成分名と申請社名)
報告品目は、PMDAの審査の段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断された製品。
 
ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL(アダリムマブ、アッヴィ):クローン病に対し効果減弱の際に1回80mgに増量(隔週投与)できるようにする用法・用量を追加する新用量医薬品。再審査期間なし。海外で、今回追加する用法・用量が承認しているところはない。
 
エルネオパNF1号輸液、同NF2号輸液(大塚製薬工場):改訂された欧米ガイドラインに準拠するよう、既承認の同1号、2号輸液の成分中、ビタミンB1、B6、C、葉酸を増量し、ビタミンK1、鉄を減量した類似処方医療用配合剤。再審査期間なし。海外承認なし。大塚製薬工場は既承認のエルネオパ輸液を承認整理する予定。
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