ペプチドリーム 元取締役副社長COOが不適切な試薬類の発注・持ち出しに関与 法的措置速やかに検討へ
公開日時 2025/08/07 04:52
独自のペプチド創薬開発プラットフォームを有するペプチドリームは8月6日、元取締役副社長COOが不適切な試薬類の発注・持ち出しに関わったほか、取引先等から業務委託契約を受託し、対価として金銭を受領した行為が判明したとの特別調査委員会・調査報告書を公表した。同社は、今回の事案の更なる事実究明、および当社が被った損害の早期回復に向けて、元取締役副社長COOに対する民事および刑事を含めた法的措置についてすみやかに検討を進める方針だ。
◎2017年3月から2025年1月にかけて最大752個(約5428万円相当)の試薬類を発注
同社は、今年5月に不適切な試薬類の発注・持ち出しがあった可能性に関し、特別調査委員会を設置して事実関係の調査を進めてきた。特別踏査委員会の報告によると、2017年3月から2025年1月にかけて、同社に納品された最大752個(約5428万円相当)の試薬類が元取締役副社長COOの指示で発注され、同氏の手によって無断で社外に持ち出された可能性が高いことが認められたとしている。また同氏は、取引先等から個別に業務委託契約を受託し、対価として3社から金銭を受領していた行為も判明した。
◎「阿吽の呼吸」で複数の研究室に所属する学生等からリクエストを自ら受領 無償供与
調査報告書によると、元取締役副社長COOが発注した試薬は、いずれも一般的に市場で流通している汎用試薬(抗体やアッセイキット等)で、試薬メーカー等から同社内に納品され
た後は、同氏が保冷ボックスに入れて手持ちで社外に持ち出していた。さらに、供与先については、同氏本人も記録を残していないとのことだが、いずれもアカデミア(大学または研究機関)に所属する複数の研究者であるとの主張があった。なお、同氏は、「阿吽の呼吸」で複数の研究室に所属する学生等からリクエストを自ら受領し、独自の判断で試薬発注を指示し無償で供与していたという。
◎個別に業務委託契約を締結 対価として金銭を受領する事案も判明
一方で、同氏が代表を務める株式会社に3社(X社、Y社、Z社)から入金があり、各社と個別に業務委託契約が締結されていたことも分かった。このうちのX社(同社試薬・消耗品の調達先)とは、X 社の製品開発等に関するアドバイスを目的とする業務委託契約を交わし、対価として2014年から2024年にかけて約5104万円を受領していたことも判明。仮にこの業務が、ペプチドリームが行っているコンサルティング事業と市場において競合するのであれば、「事業の部類に属する取引」に該当し、取締役会にて重要な事実を開示して承認を経る必要があったと指摘している。
ただ、業務委託契約を受託し、対価として金銭を受領していた行為については、「今回の調査の限りにおいては、業務の内容から当社事業との関連性および当社の損害を認定するまでの検証には至らず、今後のさらなる検証が必要になるものと考えられた」としている。
今後の対応について同社は、「重く受け止めるとともに、再発防止を徹底する必要性が高い」として、調査報告書の内容を踏まえた原因分析および再発防止策の検討を速やかにすすめる方針。また、元取締役副社長COOに対する民事および刑事を含めた法的措置について速やかに検討を進めるとした。