エーザイ・内藤COO レカネマブ「デマンド拡大に向け大きなうねりが進行」SC-AI維持療法は重要な一手
公開日時 2025/08/06 04:52

エーザイの内藤景介代表執行役専務COO(兼)チーフグロースオフィサーは8月5日の2025年度第1四半期決算説明会で、早期AD治療薬レカネマブについて、「デマンド拡大に向けた大きなうねりが進行している」と強調した。内藤COOは、7月末にカナダで開催された「アルツハイマー病協会国際会議2025」(AAIC)で、同剤の48か月継続投与における2年間のRWDで、有効性への高い評価と満足度を確認したことを指摘。加えて、米国FDAでのSC-AI維持療法の審査終了目標日が8月31日に迫っていることをあげ、「レケンビだけが提供できるユニークな価値を強力に訴求してきたということが成果として表れ始めている」と強調した。
◎トロントのAAICに出席して「KOLや現場の先生方の熱意や期待の高まりを肌で感じた」
「私自身も先週トロントのAAICで、KOLや現場の先生方のレケンビ治療への熱意や期待の高まりを肌で感じてきた。まさに我々は現在転換期を迎えていると思うし、レケンビという薬剤がAD市場そのものに大きなパラダイムシフトを起こしているというふうに考えている」-。この日の説明会で内藤COOはAAICに出席した印象について、あえてコメントした。その上で、「こうした取り組みから2026年度のROE8%レベルに向けてレケンビによるイノベーションのみでなく、収益面でも変わっていくというところをお伝えしたい」と強調した。
この日の説明会では「レケンビ価値増大」に関する最新のトピックスが報告された。内藤COOが「デマンド拡大に向けた大きなうねり」と表現する背景の一つには、前四半期比で売上120%(現地通貨ベース)と着実な進捗をみせたことがある。Aβ検査についてはBBM(Blood-based biomarker)トリアージテストが直近3か月平均で130%以上伸長。Aβ陽性率が向上し、さらにPET/CSF検査数も直近3か月平均で120%以上伸長した。
◎DTCテレビキャンペーンを6月9日に開始「早期受診を喚起する上で非常に効果的」
一方で今後の拡大要因として、DTCテレビキャンペーンを6月9日に開始した。内藤COOは、「医療従事者から早期受診を喚起する上で非常に効果的と高い評価をされている」と語った。また、BBM Clinical Practiceガイドラインが発出され、初めてBBMがAβ確定診断として推奨された。これに伴いトリアージ・確定診断として広く社会実装されることに期待感が広がっている。
◎SC-AI維持療法のPDUFAは8月31日「長期継続投与のハードルが大幅に低下する」
もう一つのトピックスとして、FDAで審査中のSC-AI維持療法(1週間ごとに 360mg)の審査終了目標日(PDUFA)が25年8月31日に迫っていることがあげられる。内藤COOは、「簡便なSC-AIの登場により、在宅投与が可能となり長期継続投与のハードルが大幅に低下する」と強調。「簡便なSC-AIの登場で在宅投与が可能となり、長期継続投与のハードルが大幅に低下する。点滴に関する医療費の大幅な削減も可能と考えている」と述べ、「承認後に速やかな上市に向け準備が順調に進捗している」と報告した。
内藤COOは、「Targeted DTC、BBM、SC-AIなど、デマンド拡大に向け大きなうねりが始まっており、年度売上見通しの400億円達成に向けて順調に進捗している」と期待感を表明した。