中医協 費用対効果評価を価格調整に活用へ 市場規模大きな革新的新薬が対象に

公開日時 2017/06/29 03:52
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厚生労働省保険局医療課は6月28日の中医協費用対効果評価専門部会に、費用対効果評価の本格的な導入を見据え、結果を原則として保険償還の可否の判断には用いず、保険収載後の価格調整に用いる考えを示した。有効性・安全性に基づき、薬事承認された医薬品についてはすべて保険収載が原則となることを堅持。一方で、抗がん剤・オプジーボに代表されるような革新性が高く、市場規模が大きな品目を対象とすることで、国民皆保険の堅持を視野に入れる。この日の中医協費用対効果評価専門部会では、支払側から将来的な保険償還を視野に入れる必要性や、年4回ある新薬の薬価収載のタイミングを活用した価格への早急な反映を求める声があがった。

厚労省は、この日の中医協費用対効果評価専門部会で、2016年度薬価改定で試行的に導入されている現状から、企業による分析、費用対効果評価専門組織による再分析に1年以上要していると説明。現行の保険収載のスケジュールでは、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグを避けられない状況であることから、保険償還の可否の判断には用いないことを提案した。対象とする医薬品については、①補正加算があるなど革新性が高い、②一定程度超で市場規模が大きい—の2つの要件を両方満たす品目とした。市場規模については、効能追加などにより収載後に市場規模が一定の額以上拡大した品目をあげた。ただし、市場規模が一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目などについては柔軟な対応を考慮することも考慮する。

一方で、①治療法が十分に存在しない稀少な疾患に対する治療に用いる、②医療上必要性の高い未承認薬・適合外薬検討会議で厚労省からの開発要請または公募に応じて開発された、③小児疾患に対する治療に用いる、④基礎的医薬品、不採算品再算定。最低薬価の対象である医薬品、⑤後発品、後発品のある先発品—は除外する。


2016年度薬価制度改定で試行的導入され、補正加算率や売上高などきめ細かく条件が設定され、医薬品7品目、医療機器6品目が指定されている。一方で、6月9日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)では、「専門的知見を踏まえるとともに、第三者的視点に立った組織・体制をはじめとするその実施の在り方を検討し、本塩中に結論を得る」とされている。この日の中医協で厚労省保険局医療課の眞鍋馨企画官は、市場規模の要件を緩和するなど、体制の充実に合わせて対象品目を拡大する考えを明らかにした。


◎支払側「年4回の薬価収載の機会に薬価に反映を」



この日の中医協では、費用対効果評価の目的とタイミングが議論となった。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「安定的な運営を目指すということでは、事務局の提案要件は妥当」とした上で、「この制度が安定的に運営され、企業の分析に要する期間が短縮され、この制度の効果が表れてくるタイミングでは保険収載の可否に用いることも検討しても良いのではないか」と述べた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「未来永劫保険償還の可否に使わないということではなく、一定程度制度が定着し数値も正確になれば高額な医薬品、医療機器、医療技術についても保険償還の可否に使うことはあえて排除しない方がいいのではないか」と述べた。一方で、診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「どんな治療も有効性・安全性が確立されていればすべての患者が使える。それが非営利の保険者さんにすべてを委ねている大きな要素だ」と述べ、保険者自らがデータを活用して正すことが役割だと反発した。


費用対効果評価を薬価に反映するタイミングについても、支払側の吉森委員は、「費用対効果もできるだけ速やかに価格に反映できるよう、年4回の収載のタイミングをみて価格の反映を行っていく」必要性を指摘。費用対効果評価による価格調整が行われる医薬品は、市場拡大再算定などの対象となる医薬品も含まれる可能性を指摘し、「医療現場に無用な混乱を生じさせないという意味もあり、価格調整と費用対効果の反映は同時に行われるよう工夫していくべき」と述べた。


◎薬価専門部会 原価計算方式のイノベーション評価拡充へ


厚生労働省保険局医療課は、同日開かれた薬価専門部会に、原価計算方式で算定される新薬について、薬価算定時のイノベーション評価を拡充する考えを示した。

原価計算方式ではイノベーションの評価は営業利益率に反映されるのみで、類似薬効比較方式が価格全体にイノベーションの評価が反映されるのに対して評価が“限定的”との指摘があったことを踏まえたもの。厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、「あくまで革新性が高いというものに対しては医薬品の価値をプラスアルファで考えてもいいのではないかという視点で立った時に類似薬効比較方式に比べてあまり高くならない仕組みになっている」と述べた。

ただ、これまでブラックボックスと言われていた製品製造原価や販売費・研究管理費などにプレミアをつけることへの反発もある。中山薬剤管理官は、製品製造原価や販売費・研究管理費などを明らかにした場合に評価を拡充する考えを表明した。特に外資系企業などで、輸入される医薬品で使用され“移転価格”についても触れ、「移転価格という価格、内容がわからないというものを除けば、原価計算方式の場合は情報については、データを出してもらった上で、作成するという作業を行っている」と説明。ブラックボックスに切り込むことで、薬価制度の正確性・透明性を確保したい考えも示した。

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