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iPS細胞由来2製品 7年間の条件及び期限付承認へ 住友ファーマのアムシェプリなど 厚労省部会が了承

公開日時 2026/02/20 04:52
厚生労働省の薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は2月19日、iPS細胞由来の再生医療等製品2製品の承認の可否を審議し、いずれも条件及び期限付き(期限7年)で承認することを了承した。条件及び期限付承認が了承されたのは、住友ファーマのパーキンソン病を対象疾患とする非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞・アムシェプリと、大阪大学発バイオベンチャー企業・クオリプスの虚血性心筋症による重症心不全を対象疾患とするヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シートのリハートとなる。治療用にiPS細胞由来製品が実用化されるのは世界初となる。

2製品とも、治験に参加した被験者数が少なく、市販後も引き続き新たな投与を受けた患者を評価して有効性を検証する必要があることから、同部会では条件及び期限付き承認する方針が了承された。今後の承認スケジュールは、「一定の事務処理期間を経た後、厚生労働大臣の承認を行う予定」(厚労省担当官)としている。

【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業名)
アムシェプリ(ラグネプロセル、住友ファーマ):「レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。先駆け審査指定制度指定製品。希少疾病用再生医療等製品。条件及び期限付承認に該当し、期限は7年。

本品は、健康成人の末梢血単核球から作製したiPS細胞から分化誘導して製造した、ドパミン神経前駆細胞の細胞塊を含有する細胞加工製品(非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)。本品は脳内の被殻に両側移植して用いる。免疫反応の抑制を目的に、本品移植前後にタクロリムス水和物を投与する。

条件及び期限付承認の根拠となったのは、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が京都大学医学部附属病院と連携して実施した第1/2相医師主導治験。日本人パーキンソン病患者7例を対象に安全性・有効性を評価した。

片側のみ移植となった1例を除く6例で有効性を評価した結果、主要評価項目であるオフ時(内服薬を12時間以上中止した状態)のMDS-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)PartIII合計スコア平均値のベースラインからの変化量は、移植後24カ月で-9.5となった(ベースライン50.8点、本品41.3点)。解析対象の6例のうち4例でベースラインからのスコア改善が認められた。MDS-UPDRS PartIIIは運動症状の指標として用いられ、症状が重いほどスコアが高くなる。

また、オフ時のHoehn and Yahr 重症度分類(=パーキンソン病の病期を示す)においても、ベースラインからの変化量は移植後24カ月で-0.8(ベースライン4.2、本品3.3)。こちらも6例中4例で改善を示した。6例全例で、移植後12カ月及び24カ月のいずれの時点でも、移植部位である被殻に本品が生着していることも確認した。

この日の部会では、7年の期限内に実施すべき製造販売後承認条件評価の計画概要も示された。

レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者を対象とした製造販売後臨床試験を実施し、本品の有効性及び安全性を評価する。目標症例数は65歳以下が30例、65歳超が5例――の計35例。主要評価項目は移植後96週時(24カ月)におけるオフ時のMDS-UPDRS Part III合計スコアのベースラインからの変化量。対照群は設けず、文献情報を基に閾値を設定し、有効性を判断する。副次評価項目としてオン時間、オフ時間、日常生活動作などを設定し、多角的に評価する。

全例を対象とした使用成績調査も実施し、本品の使用実態下での安全性及び有効性を確認する。

リハート(ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート、クオリプス):「薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全の治療」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。希少疾病用再生医療等製品。条件及び期限付承認に該当し、期限は7年。

本品は、ヒト(同種)iPS細胞から分化誘導させた心筋細胞をシート状に形成し、ゼラチン及びHBSS(+)から成るゲルに包埋したヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート。本品は移植前に前処理した後、心筋細胞シート3枚を心臓表面に順次移植して用いる。移植した翌日から免疫抑制剤3剤(プレドニゾロン、タクロリムス水和物、ミコフェノール酸モフェチル)を規定の用法・用量で漸減期間を含めて90日間投与する。

厚労省担当官によると、投与対象患者は、薬物治療のみに効果不十分な患者は対象とはならず、薬物治療と侵襲的治療のどちらにも効果不十分な患者が対象になる。また、移植部位および使用方法については、移植前にエコーやMRIなどを用いて患者の虚血部位を評価し、その虚血部位を覆うように本品を貼付するとした。

条件及び期限付承認の根拠となった多施設共同非盲検非対照国内試験(CVSC0005試験)は、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全患者8例を対象に実施された。主要評価項目である移植後26週時点の心エコー図検査によるLVEF(左室駆出率)の改善が認められたのは8例中2例だった。

一方、標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全患者に対して、心機能・運動耐容能の改善・維持を通じて生命予後の改善を目指す治療法の開発が求められていることも考慮して、LVEFの結果だけではなく、運動耐容能等のその他の評価項目の結果も踏まえて本品の有効性を総合的に評価した。
 
それによると、運動耐容能を示す指標として広く用いられ、予後予測指標として重視されるPeakVO2(最高酸素摂取量)では、臨床的に意義のある変化と考えられる「10%以上の増加」が移植後52週時点で8例中4例に認められた。本品移植に伴い、「明らかに悪化した症例」はなかったしている。

7年の期限内に実施する製造販売後承認条件評価では、外部対照を用いた比較を行う方針が示された。本品の使用成績調査から得られる75例のデータに対し、別途実施する前向き臨床研究における本品非投与群150例を外部対照として設定し、使用実態化における本品の有効性・安全性を検証することになった。有効性の主要評価項目は、本品移植後52週時点のPeakVO2が改善した患者数、およびLVESVI(左室収縮終期容積係数)が改善または維持した患者数として実施する。
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