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中医協総会 かかりつけ医機能を初診時に加算で評価へ 機能分化、病診連携を後押し

公開日時 2018/01/11 03:51

厚生労働省保険局は1月10日の中医協総会で、次期診療報酬改定の焦点である“かかりつけ医”について、初診時の加算新設を提案した。地域包括ケアシステム構築が求められる中で、かかりつけ医が予防から入院、在宅までのステージで中核を担うことが期待されている。患者にとって気軽に相談でき、必要に応じて専門医へ紹介するなどの機能を担う医療機関の評価を新設することで、かかりつけ医の機能を明確化。あわせて、大病院との病診連携を推進し、医療機関の機能分化、地域包括ケアシステム構築に向けて後押しする考えだ。

高齢化が進み、在宅で治療を受ける生活習慣病患者が増加する中で、かかりつけ医は、①日常的な医学管理と重症化予防、②専門医療機関等との連携、③在宅療養支援、介護との連携―と予防・外来、入院、在宅の各ステージにかかわることが求められている。

かかりつけ医を評価する点数としては、地域包括診療料、地域包括診療加算などの点数があるが、初診の機能を重視し、新たに評価する方針を打ち出した。専門医療機関との連携として具体的には、合併症の入院が必要な場合などで精密検査や治療が必要なケースや急性増悪への対応などが想定される。ただし、異なる疾患での再診となる患者については、診療報酬上での区分が難しいことから、初診時に限ることも提案した。

2018年度診療報酬改定の議論では、大病院受診時の定額負担については、現行の一般病床500床以上の地域医療支援病院との対象範囲を400床以上に拡大する方向で議論が進められている。今回要件に示された、専門医療機関への紹介機能はこうした観点からも重要性を増すこととなる。

診療側は提案を歓迎した一方で、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「初診で、患者が気軽に相談できるというのは当たり前。必要であれば専門医療機関を紹介できるのも当然のことだ。患者にとっては、そういった機能があるところに行くときは高いお金を払わないといけないことになる」と指摘するなど、支払側からは、患者負担の増加を懸念する声もあがった。


◎急性期の入院基本料は7段階に 重症患者割合が今後の焦点に



この日の中医協総会では、一般病棟入院基本料(看護配置7対1、10対1)の見直しについても議論がなされた。7対1入院基本料と10対1入院基本料を再編・統合。7対1と、10対1の間の中間的な評価を2段階新設し、7段階の評価とすることを提案した。

今後、急性期医療のニーズは減少傾向となることが推計されており、急性期病床から地域包括ケア病棟などへの転換が求められている。一方で、現行の7対1入院基本料(1591点)と10対1入院基本料(1332点)との間には診療報酬点数上に格差があり、病院経営の観点からも転換を阻んでいる現状があった。こうした中で、看護配置などの基本部分に加えて、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を評価する診療実績に応じて段階的な評価とすることで、医療機関の「弾力的で円滑な選択・変更」を後押しする見直し方針が示されていた。

中医協に示された具体案では、現行の7対1入院基本料に相当する「入院料1」、10対1入院基本料に相当する「入院料4、5、6、7」に加え、両者の中間的な水準となる基本料として、「入院料2」、「入院料3」を新設する。この新たな基本料は、入院料1の届け出や診療情報データ(DPCデータ)を用いた判定が必須であることなどを要件化する。

診療実績の基準に用いられる「重症度、医療・看護必要度」も見直す。重症度、医療・看護必要度は、A項目(モニタリング及び処置等)、B項目(救急搬送後の入院)、C項目(手術等の医学的状況)を基準に判定することになる。①A得点が2点以上かつB得点が3点以上、②A得点が3点以上、③C得点が1点以上―について、毎日測定し、直近1か月の該当患者の割合を算出する。7対1入院基本料を算定するには、該当患者が25%以上となることが必須要件。10対1入院基本料では、12%以上、18%以上、24%以上と重症患者の割合に応じて段階的な評価がなされている。

厚労省は、見直し案を2案提示したが、診療・支払各側ともに、①「A得点1点以上かつB得点3点以上」かつ「診療・療養上の指示が通じる」または「危険行動」のいずれかに該当している患者を該当患者に追加、②開腹手術の所定日数を5日から4日へ変更――を支持した。

今後焦点となるのが、現行の7対1入院基本料を取得できる重症患者の割合だ。認知症患者の影響もあり、見直し後は重症患者の受け入れ割合が増加することとなる。支払側は、これまで30%以上への引上げを求めてきた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、基準の見直しにより、「該当患者が3~4%増加する新たな付加的な要素が出てきた」とし、「現行7対1入院基本料の基準を34%に引き上げる」ことを求めた。

一方、支払側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、現行制度でも赤字に陥っている急性期病院があると指摘。10対1入院基本料に相当する基本料については、該当患者割合の基準引き下げを求めた。

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