田辺三菱製薬は３月29日、医学部や薬学部で学ぶ学生・留学生への就学支援として、2023年度から返済不要の奨学金の給付を開始すると発表した。同社は日本国際教育支援協会（JEES）の冠奨学金事業への寄付を通じて、給付型奨学金を年間180万円（月額15万円）、学士課程修了まで給付する。2023年度から毎年最大10人を新規採用する計画で、６年目以降、最大60人に給付することになる。

JEESは日本人学生や外国人留学生への支援事業等を行う公益財団法人で、事業の一つとして企業または個人などからの寄付を原資に、寄付者の名を冠した「冠奨学金事業」を実施している。田辺三菱製薬は今回、同事業に寄付し、23年度より「JEES・田辺三菱製薬医学・薬学奨学金」を開始する。JEESの同事業において、医学部や薬学部で学ぶ学生・留学生を対象とした奨学金への寄付は、製薬企業としては同社が初めてとなる。

学生は、在籍大学からJEESへの推薦により応募できる。募集対象者は、医学部又は薬学部に在籍する▽日本国籍を有する者、▽日本への永住を許可されている者、▽私費外国人留学生――で、学年の指定はない。今年５月から募集を開始する予定。選考はJEESが行い、田辺三菱製薬は選考には関与しない。田辺三菱製薬によると、この奨学金に採用された学生は、成績などの一定の条件を満たせば、自動的に最大６年間、給付を受けられる。

田辺三菱製薬は、今回の給付型奨学金を開始する理由について、「次世代における医学・薬学界での人材育成への貢献と、製薬企業として医療、福祉や科学技術の発展に寄与していくため」だとしている。