ヤンセンの経口乾癬治療薬・イコタイドなど新薬8製品を審議へ 8月24日の第二部会で
公開日時 2026/08/18 04:51
厚生労働省は8月24日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、ヤンセンファーマの経口乾癬治療薬・イコタイド錠(一般名:イコトロキンラ塩酸塩)など新薬8製品の承認の可否を審議する。イコタイドはIL-23受容体を選択的に阻害する初の標的経口ペプチドであり、既存治療で効果不十分な乾癬治療において主流となっている生物製剤(注射剤)に対し、利便性向上が期待されている。
◎MSDのキイトルーダ皮下注製剤「キイジェクト配合皮下注」も
このほか審議予定品目には、MSDのキイトルーダの皮下注製剤であるキイジェクト配合皮下注(ペムブロリズマブ/ベラヒアルロニダーゼ アルファ)や、武田薬品の葉酸受容体α(FRα)陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がん治療薬・エラヒア点滴静注(ミルベツキシマブ ソラブタンシン)などがある。
報告予定品目は10製品。第一三共のエンハーツのHER2陽性乳がんの1次治療の追加や、ファイザーのイブランスのHR陽性HER2陽性乳がんに関する効能追加などが含まれる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽①スキリージ皮下注150mgシリンジ1mL、同皮下注150mgペン1mL、同皮下注75mgシリンジ0.83mL、②同皮下注55mgシリンジ0.37mL(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を対象疾患とする①新用量医薬品、②新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品。
抗IL-23p19抗体。現在、成人に対する用法・用量が設定されている4つの乾癬の適応症について、小児用量を追加するもの。皮下注55mgシリンジ0.37mLは新剤形。
国内の乾癬患者数は約43万人と推定され、小児の割合は0~9歳が0.8%、10~19歳が1.8%と報告されているという。
▽イコタイド錠200mg(イコトロキンラ塩酸塩、ヤンセンファーマ):「既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
IL-23受容体を選択的に阻害する初の標的経口ペプチド。承認申請は、第3相ICONIC臨床開発プログラム(ICONIC-LEAD試験、ICONIC-TOTAL試験、ICONIC-ADVANCE1試験、ICONIC-ADVANCE2試験)などの結果に基づく。この中でTYK2阻害剤・ソーティクツ錠に対する優越性が確認されている。
既存治療で効果不十分な乾癬の治療では、ソーティクツや生物製剤が使用されている。ヤンセンは、乾癬に対する生物製剤として抗IL-23p19抗体・トレムフィアを持っている。治療選択肢は年々進歩しているが、利便性と高い有効性を兼ね備えた治療へのニーズは依然として高い状況という。
米国でイコタイドは、26年3月に承認されている。
▽ガミファント点滴静注液50mg(エマパルマブ(遺伝子組換え)、Swedish Orphan Biovitrum Japan):「全身型若年性特発性関節炎又は成人発症スチル病に伴うマクロファージ活性化症候群」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
抗IFN-γ抗体。マクロファージ活性化症候群(MAS)は、リウマチ性疾患の中でも全身型若年性特発性関節炎(sJIA)及び成人発症スチル病(AOSD)における発症頻度が最も高く、T細胞及びマクロファージの過剰な活性化及び増殖により重度の炎症が認められる。多臓器不全に陥り急速に生命を脅かされることがあり、死亡に至る患者の割合は約10~20%とされている。国内患者数は約1294人と推定されている。
国内でsJIA又はAOSDに伴うMASの効能・効果で承認されている医薬品はない。米国では、25年6月にMASに係る効能追加が承認されている。
▽キイジェクト配合皮下注395mg、同配合皮下注790mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)/ベラヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)、MSD):「〇悪性黒色腫、〇切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、〇非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法、〇再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、〇根治切除不能な尿路上皮がん、〇がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)、〇根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、〇腎細胞がんにおける術後補助療法、〇再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、〇局所進行頭頸部がんにおける術前・術後補助療法、〇根治切除不能な進行・再発の食道がん、〇治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI High)を有する結腸・直腸がん、〇PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん、〇ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術前・術後薬物療法、〇進行・再発の子宮体がん、〇がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)、〇進行又は再発の子宮頸がん、〇局所進行子宮頸がん、〇再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、〇治癒切除不能な進行・再発の胃がん、〇治癒切除不能な胆道がん、〇切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫、〇白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤。
キイトルーダの皮下注製剤。効能・効果は、現在キイトルーダが持つ全22の適応と、今回、第二部会に報告予定の卵巣がんに係る適応を加えた23となる。現在の静注製剤は点滴投与に30分を要するのに対し、利便性の向上や治療時間の短縮などが期待されている。
米国では25年9月に承認されている。
▽オジェンダドライシロップ300mg、同錠100 mg(トボラフェニブ、IPSEN):「BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
2型RAF阻害剤。対象疾患とする低悪性度神経膠腫は、腫瘍の増大による頭蓋内占拠や局所浸潤により、身体障害や生活の質の低下等が認められる重篤な疾病。患者数は約2680人と推測されている。
タフィンラー・メキニスト併用療法が、「BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫」の適応を持っているが、BRAF V600E変異を主な対象としており、それ以外のBRAF遺伝子異常を有する低悪性度神経膠腫患者及びタフィンラー・メキニスト併用投与後に疾患進行が認められた患者においては、使用が想定されて承認されている薬剤はない。
米国でオジェンダは24年4月に迅速承認されている。
▽エラヒア点滴静注100mg(ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)、武田薬品):「葉酸受容体α陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
ファーストインクラスの抗葉酸受容体α(FRα)抗体薬物複合体(ADC)。国内におけるFRα陽性の卵巣がん、卵管がん及び原発性腹膜がんの患者数は3万6000~4万3200人と推測されている。
再発卵巣がんは、白金製剤による治療終了後から再発までの期間が6か月以上の感受性の卵巣がん(PSOC)及び6か月未満の抵抗性の卵巣がん(PROC)に分類される。PSOCも、多くは最終的に白金製剤を含む化学療法に抵抗性となる。PROCは予後不良となっている。
エラヒアの承認申請は、FRα陽性のPROCを対象とした海外第3相MIRASOL試験、SORAYA試験、国内第1/2相TAK-853-1501試験の結果に基づく。
米国でエラヒアは22年11月に迅速承認、24年3月にフル承認を取得している。武田薬品は日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス権を持っている。
▽モデーソカプセル125mg(ドルダビプロン塩酸塩、大原薬品):「びまん性正中膠腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
ドパミンD2受容体拮抗薬。びまん性正中膠腫は、正中線近傍間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)、脊髄等に発生する浸潤性の神経膠腫(グリオーマ)の総称。大多数にH3 K27M変異が見られる。大原薬品は26年1月に「H3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫」を予定される効能・効果として承認申請したことを発表していた。
国内において、H3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫を含む中枢神経系の悪性新生物の総患者数は1万4000人と推測されている。H3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫に対する既存の化学療法の有効性に関する報告は乏しく、標準治療は放射線治療だが、全生存期間の中央値は13.4~16.6か月と報告されている。
米国でモデーソは25年8月に迅速承認されている。
▽テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え)、ビーワン・メディシンズ):「再発又は遠隔転移を有する上咽頭がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
抗PD-1抗体。承認されると、テビムブラにとって「根治切除不能な進行・再発の食道がん」、「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に続く3つ目の適応となる。
国内における上咽頭がんを含む咽頭がんの総患者数は約3万9000人と報告されている。再発又は遠隔転移を有する上咽頭がんに対しては、シスプラチンとフルオロウラシルとの併用による1次治療が行われているものの、予後不良となっている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽①ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ「明治」、②同BS点滴静注130mg「明治」(ウステキヌマブ(遺伝子組換え)[ウステキヌマブ後続5]、Meiji Seika ファルマ):「①既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎、中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、②中等症から重症の活動期クローン病の導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を対象疾患とするバイオ後続品。
抗IL-12/23p40抗体・ステラーラの5番目のバイオ後続品(BS)。
▽エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「HER2陽性の手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。現在持っている「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん」の適応から「化学療法歴のある」の部分を削除し、1次治療を可能とするもの。
承認申請は、グローバル第3相DESTINY-Breast09試験の結果に基づく。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がん」を対象疾患とする新効能医薬品。
抗PD-1抗体。卵巣がんに対しては、主に白金系抗悪性腫瘍剤を中心とした化学療法が実施されているが、白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣がん(PROC)に対する治療選択肢は限られている。承認申請は第3相KEYNOTE-B96 / ENGOT-ov65試験の結果に基づく。
▽エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(エプコリタマブ(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「〇以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、〇再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象疾患とする新用量医薬品。
抗CD3/CD20二重特異性抗体。現在、単剤療法で承認されているが、新用量は併用療法に関するもの。
▽キャップバックス筋注シリンジ(21価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、MSD):「高齢者又は2歳以上の肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症の予防」を対象疾患とする新効能医薬品。
現在の効能・効果は「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防」となっており、2歳以上から投与を可能とするもの。
▽イブランス錠25mg、同錠125mg(パルボシクリブ、ファイザー):「ホルモン受容体陽性かつHER2陽性の手術不能又は再発乳がんにおける化学療法後の維持療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
CDK4/6阻害剤。現在、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんの適応を持っており、それに続き、HR陽性かつHER2陽性乳がんへの投与を可能とするもの。
同じCDK4/6阻害剤のベージニオは、HR陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん、HR陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法―の適応を持っている。
▽コブゴーズ筋注(組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン、塩野義製薬):「SARS-CoV-2による感染症の予防」を対象疾患とする新用量・その他の医薬品。
現在、初回免疫の用法・用量のみ設定されており、新用量は追加免疫に関するもの。
▽テクベイリ皮下注30mg、同皮下注153mg(テクリスタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
抗BCMA/CD3二重特異性抗体。「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」で承認されているが、今回、「標準的な治療が困難な場合に限る」を削除する。
また、現在は単剤投与とトアルクエタマブ(遺伝子組換え)との併用でそれぞれ用法・用量が設定されているが、厚労省によると、トアルクエタマブとは異なる薬剤との併用療法も申請されている。
▽ダトロウェイ点滴静注用100mg(ダトポタマブ デルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」及び「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」及びを対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
抗TROP-2 抗体薬物複合体(ADC)。2024年12月に「化学療法歴のあるホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」で承認されている。今回、同適応の新用法・用量の追加のほか、トリプルネガティブ乳がん(HR陰性HER2陰性)の1次治療の追加が申請された。
▽①リブロファズ配合皮下注、②同配合皮下注22mL(アミバンタマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を対象疾患とする、①新用量医薬品、②新用量・剤形追加に係る医薬品。
抗EGFR/MET二重特異性抗体・アミバンタマブ(ライブリバント点滴静注)とrHuPH20製剤を組み合わせることで、皮下投与を可能としたもの。現在、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するB法として、ラゼルチニブメシル酸塩との併用において、4週間を1サイクルとする用法・用量が設定されている。この2サイクル目以降の投与日は現在、「1日目、15日目」と2週間に1回投与となっているが、今回、「1日目」のみの新用法とすることで、4週間に1回投与を可能とする。リブロファズ配合皮下注22mLは新剤形。