医薬ライセンシング協会
公開日時 2002/07/16 23:00
17日、第136回月例会で、津谷喜一郎・東京大学大学院薬学系研究科客員教授がEBMと診療ガイドラインについて講演。厚労省と日医の対立を経て、昨年末、日本医療機能評価機構に委ねられたEBMデータベース事業。津谷氏は96~99年、大学・日医・日看協などの代表による「医療技術評価のあり方検討会」と「医療技術評価推進検討会」に関わり、現在は、日医の「診療ガイドライン情報センタープロジェクト委員会」のメンバーでもある。「EBMの3人の父」の1人であるA・L・コクランの言葉から「All effective treatment must be free」を引用し、"effective"が不可欠と強調。 ランダム化比較試験(RCT)の重要性にも言及し、臨床試験は現在、薬の効果についての結果の「観察比較試験」に留まるが、本来は、他の条件を可能な限り統一したうえで、1つの条件を変えた複数のケースについて、薬を適用したときの結果を適用しないときの結果で割った「オッズ比」同士を比較するべきとした。また、エビデンスをつくる、つたえる、つかうの3段階のうち、「つかう」段階での医師の裁量権の問題にも触れた。医師は、患者からの情報と外部の情報により、臨床判断を行うが、「患者からの情報収集」こそが医師の仕事であり、「外部の情報」は「できれば他者」にまかせるべきで、エビデンス集である診療ガイドラインは、医師の裁量権を侵すものではないという見解を示した。