取引先医療機関に従業員を派遣して患者指導を行わせたとして医療用医薬品製造業公正取引協議会（メーカー公取協）は12月20日、ノボ ノルディスク ファーマと日本イーライリリーに対し、公正競争規約（景品類提供制限の原則）違反の疑いで、類似行為を行わないことなどを求め警告した。２社はいずれも事実関係を認め、警告に従う方針という。調べでは、ノボ社は遅くとも92年ごろから、インスリン製剤や成長ホルモン製剤の取引について有利な取り計らいを得る目的で、看護師資格を持つ従業員をインストラクターとして派遣し、ペン型注入器などの使用、操作方法を患者に説明。リリー社もこれに対抗し、遅くとも97年10月ごろから、インスリン製剤の取引に関し同様にインストラクターを派遣し患者に説明させていた。派遣したインストラクター数や派遣先医療機関数について同公取協は「各社の事業活動の事情もある」として明らかにしていないが、派遣先はノボ社が取引先医療機関の0.82％、リリー社が約1.6％という。同業他社からの情報提供があり、10月ごろから同公取協が調査していた。２社とも過去に規約違反の前歴があることや、従業員の派遣が組織的なことから警告を決めた。また、同公取協は会員各企業に対しても、同様の行為がないよう文書で注意喚起した。