帝人/杏林 医薬医療事業統合見送り
公開日時 2003/04/23 23:00
帝人と杏林製薬は4月23日、03年10月1日に予定していた医薬医療事業の統合を見送ると発表した。合成抗菌剤ガチフロの緊急安全性情報配布という予想外の展開で、統合比率で合意できなかった。両社とも引き続き他社とのM&Aを積極的に検討していく方針。両社は今年1月23日、帝人の医薬医療事業を分割して杏林製薬に10月1日付で事業統合するとともに、帝人が杏林製薬の株式の50%超を保有して帝人グループの連結子会社にすることで基本合意したと発表。しかし、3月7日にガチフロの緊急安全性情報が出され、杏林製薬の株価が大幅に下落、一時1000円近辺まで落ち込んだ。記者会見した帝人の長島徹社長は「ガチフロ問題で杏林製薬の株価が下がり、統合比率で合意できなかった。株主の納得が得られないようでは見送らざるを得ない。非常に残念」と語った。杏林製薬の荻原郁夫社長も「株主価値の希薄化を招きかねない条件では進める訳にはいかない。相互補完的メリットが大きいと認識していたので誠に遺憾」と話した。また、長島社長は、10月1日付で分社化により「帝人ファーマ」を発足させる方針を示し、売上2000億円、研究開発費300億円をめざす基本方針は変わらないと強調するとともに、「医薬医療事業を大きくするためにアライアンス、M&Aを推進する基本戦略に変更はない」と述べた。荻原社長は気管支喘息治療剤キプレス、ガチフロを発売したほか、KRP197(尿失禁)、KRP297(糖尿病)など開発中製品もあると説明したうえで、「期待に応えられる企業として存在し得る。しかし、イメージするグローバル企業像の達成は不透明であり、アライアンス、M&Aが必要不可欠」と述べた。