厚労省・検討会 イレッサ使用制限措置講じず
公開日時 2005/01/20 23:00
厚生労働省の「ゲフィチニブ検討会」(座長・松本和則国際医療福祉大学教授)
は1月20日、初会合を開き、治療抵抗性非小細胞肺がん患者の生存期間につい
てアストラゼネカの抗がん剤「イレッサ」をプラセボと比較検討し有意差を出
せなかったとされるISEL試験の初回解析結果に関し、同社から説明を受けた。
同社がことし3月をメドに提出予定の詳細な解析結果を待つ必要があるとした
上で、「現時点で本剤の使用を制限するなどの措置を講じる必要性に乏しい」
との意見をまとめた。
同社の説明によると、同試験では日本人は対象外だが、日本人以外の東洋人に
ついては、投与が生存期間の延長に寄与したという。加えて、非小細胞肺がん
のうち特にイレッサが効くとされる、EGFR遺伝子が変異した患者割合は、米国
に比べ日本で高いとされる。こうした実情から、検討会は「添付文書記載の安
全対策を継続し、肺がん化学療法に十分な経験を持つ医師による使用を徹底す
るなど適正使用を進めることが適当」と、当面は従来通りの対応とすることを
決めた。
また、(1)投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で観察(2)
初回解析結果について医療機関に情報提供し患者に十分説明して同意を得た上
で投与(3)現在実施中のドセタキセルを対照とした非盲検無作為化群間比較
試験完了に向け企業が努力(4)EGFR遺伝子の変異と治療成績、副作用発現と
の関連について研究を早急に進め成果の公表――も求めた。3月予定の「詳細
な解析結果」が出た段階で、次回会合を開く。