厚労省 メタボリック症候群有病者940万人、診断基準作成後初推計
公開日時 2006/05/08 23:00
心筋梗塞や脳梗塞などの危険性を高めるメタボリックシンドローム(内臓肥満
症候群)の有病者数は、40~75歳で約940万人と推計される―。厚生労働省が
5月8日に公表した「04年国民健康・栄養調査」から、こんな実態が浮き彫り
となった。予備群は約1020万人と推計。昨年4月に日本肥満学会など8学会が
診断基準を作成して以来、厚労省が有病者と予備群を推計したのは初めて。
メタボリックシンドロームは、BMI25以上でウエストが男性85cm以上、女性90c
m以上の内蔵脂肪型肥満で、高脂血症(中性脂肪値150mg/dl以上、HDLコレス
テロール値40mg/dl未満)、高血圧(収縮期血圧値130mmHg以上、拡張期血圧
値85mmHg以上)、高血糖(空腹時血糖値110mg/dl以上)のいずれか2つ以上
の基準に該当する人が有病者となる。いずれか1つに該当する人は予備群だ。
今回の推計は全国3421世帯9345人を対象とした調査をもとにした。ただ、高血
糖に関する診断基準は、空腹時血糖値のデータがないため、「ヘモグロビンA1
c値5.5%以上」を代用したほか、高脂血症は「HDLコレステロール値40mg/dl
未満」のみを基準に使った。このため、厚労省は「有病者」ではなく、「メタ
ボリックシンドロームが強く疑われる人」という表現を使用している。
調査結果をみると、男性は30歳代の「強く疑われる人」が7.4%(予備群13.6%)
だったのに対し、40歳代が16.5%(25.9%)、50歳代が22.1%(27.8%)に拡
大している。さらに60歳代は27.4%(26.2%)、70歳以上は34.4%(20.9%)
となった。40~74歳でみると、「強く疑われる人」は25.7%、予備群は26%に
達している。
一方、女性は30歳以下では「強く疑われる人」、予備群ともにわずかだが、40
歳代以降から拡大。40~74歳の「強く疑われる人」は10.0%、予備群は9.6%
に達している。これは40~75歳で男性に2人に1人、女性の5人に1人がメタ
ボリックシンドロームと強く疑われるか、予備群となる計算だ。
こうした結果から年齢階層別の40~74歳人口(約5700万人)を利用して推計す
ると、この年代のメタボリックシンドロームの有病者は約940万人、予備群は
約1020万人(04年10月1日)現在に達するとみられている。