福島県立医科大・山口教授 「ベシケアは増量可能で安全性も保証」
公開日時 2006/05/22 23:00
福島県立医科大学医学部泌尿器科の山口脩教授は5月19日にアステラス製薬主
催のセミナーで講演し、国内で上市を控える過活動膀胱(OAB)治療薬のベシ
ケア(アステラス製薬)とデトルシトール(ファイザー)の用量調節に関して
比較を行ったSTAR試験(欧州で実施)の結果について解説した。
山口氏は「OAB治療では、投与量を増やす必要があるケースもあり、副作用を
増やさないで、増量できることが重要なポイントになる」と指摘。「その点で
は、優れた有効性を示し、増量が可能で安全性が保証されるベシケアは、デト
ルシトールやバップフォーを超える新世代の抗コリン剤である」と評価した。
STAR試験は、OAB患者1200人を対象に、用量調節が可能なベシケア(V)5mg
と、単一用量で用量調節ができないデトルシトール(D)徐放製剤(ER)4mg
を1日1回投与し、投与開始4週時点で被験者の希望に応じて、V群で1回10
mgに増量した。
主要評価項目の24時間の排尿回数の変化量では、V群(2.45回減)はD群(2.
24回減)に対する非劣性が示された。副次評価項目の尿意切迫感回数は、V群
が2.85回減、D群が2.42回減。切迫性尿失禁(混合性を含む)回数はV群が1.
60回減、D群が1.11回減で、V群の減少度が有意に大きく、切迫性尿失禁が消
失した患者も有意に多かったという。
一方、有害事象はV群、D群とも多くが軽度~中等度であった。山口氏はベシ
ケアは服薬後5時間で最大血中濃度に到達し、半減期が約50時間という極めて
緩徐な動態を示すことから、「副作用の軽減に関係していると言われている」
と説明した。