製薬協・PhRMA 審査体制や治験環境に苦言
公開日時 2006/06/05 23:00
6月5日に開かれた「医薬品産業政策の推進に係わる懇談会」では、ヒアリン
グを行った製薬企業の代表者から、規制当局の新薬の審査体制やスピードに対
し、「ごく僅かな改善しか見られない」といった不満を訴える声が相次いだ。
そのうえで、審査官の拡充を含めた承認審査体制の強化や、製薬産業の国際化
を加速するためのインフラ整備などに関し改善を求める意見が挙がった。
製薬協の青木初夫会長は、治験が停滞している原因として「IRBでの審査方針
が分散しており、1施設あたりの症例数が少ない。事務的な手続きにも時間が
かかり、医療機関でなぜ治験を実施するのか動機付けがはっきりしない」と指
摘。さらに「米国では臨床研究を実施するための1000床を有する施設があるが、
日本には治験に特化した施設が存在しない」と述べ、治験インフラが未整備で
ある点を問題視した。
また、審査実務担当者の倍増についても要望した。「ユーザーフィーが医薬品
医療機器総合機構の審査料などのかなりの部分を占めており、その財源の使い
方はもっと柔軟に考えてもいいのではないか。厳格なコントロール化ではなく、
自由度、自立性のある組織にして、必要な時に人員を増やせるように見直して
欲しい」と改善を求めた。
一方、製薬産業の国際化に関しても改善を求める意見があがった。米国研究製
薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会のニュートン・F・クレンショー委員長は
「アクション・プランの発表から4年を経た今、これまでの実施状況に深い失
望の念を感じざるを得ない」とコメントを発表。「他の先進諸国、一部のアジ
ア諸国の規制当局と日本の規制当局との隔たりは、今も解消されていない」と
指摘した。中でも治験環境に関しては「日本は非常に遅れており、コストがか
かる。世界同時開発の実現に向け、日米欧3極とのハーモナイゼーションの考
え方が必要」として「世界同時開発とは何かをもう一度理解していただいたほ
うがいい」と苦言を呈した。青木氏も「国際化については、ICHで専門家によ
り細かい点のすり合わせがなされているが、もっと高度なレベルでの決断や強
い意思を持たないと解決できない」と注文をつけた。
これらの要望に対し、医薬品医療機器総合機構の岸田修一理事は「治験相談業
務の窓口の効率化の面では今のやり方で良いとは思っていない。さらなる改善
に向けて、検討を進めている」と説明。審査業務に関しても「効率化に向けて
外部の機関に業務診断を行ってもらっている。新薬、一般薬、後発医薬品など
の承認申請の窓口を一本化している」と述べ、理解を求めた。