大塚製薬 統合失調症治療薬エビリファイ発売、約100人の専門MRを投入
公開日時 2006/06/06 23:00
大塚製薬は6月6日に開いた会見で、国内で5番目となる非定型抗精神病薬
(統合失調症治療薬)「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)を6月
8日に発売すると発表した。同社にとっては中枢神経系(CNS)領域では初め
ての製品で、800人の全MRのうち100人前後の専門MRで医療機関への情報提供を
行う。同社では「急性期にも効果がある」としており、急性・慢性期の両方を
ターゲットに市場浸透を進める。今回の錠剤に加え、3年後をメドに液剤の剤
型追加を目指すほか、口腔内崩壊錠の検討を進めるなど、製品ラインナップも
拡充する。初年度に7.5億円、ピーク時の8年目に121億円を見込む。
エビリファイは、世界初のドーパミンD2受容体パーシャルアゴニストという新
タイプの非定型抗精神病薬。会見で同社の樋口達夫社長は「初めてのCNS領域
の自社開発品であり、MRが安全性を重視しつつ、情報提供を図っていく」方針
を示した。02年の米国での販売を皮切りに、45ヵ国以上で発売されており、05
年度のグローバルでの売上高は1500億円のブロックバスターに成長した。うち
米国では1300億円。
同剤は、成人には1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とする。
1日最大投与量は30mg。1日1回または2回に分けて経口投与する。年齢や症
状により適宜増減が可能で、用量、用法のバリエーションが豊富だが、その分
医師の使用方法のさじ加減も難しくなりそう。同社では「24mgが平均投与用量
だが、実際はもっと少なくなるだろう」と説明している。
薬価は3mg錠が98.30円、6mg錠が186.00円、散剤1%が198.30円。「ピーク
時の目標売上高が控え目」との見方があるが、大塚では「現在1人の患者に平
均2.5~3剤の治療薬が処方されているが、こうした多剤大量療法から単剤療
法に改善が進めば、処方量が減ることが予想される」としたうえで「適応拡大
を進めることで、売り上げ拡大を図る」と話している。
同社では米国で心不全・低ナトリウム血症治療薬、炎症性治療疾患(潰瘍性大
腸炎)といった新製品の開発(フェーズ3)を進めており、さらなるエビリフ
ァイの伸長や新製品の上市などにより、医薬品の海外売上比率を39%から2010
年までに50%までに拡大する見込みとしている。