日本リリー ジェムザール、世界で初めて胆道がんの適応取得
公開日時 2006/07/05 23:00
医療法人宏陵会根本外科医院の砂村眞琴副院長は、日本イーライリリーが7月
4日に開いた記者会見で講演し、6月中旬に胆道がんの適応追加承認を取得し
た抗がん剤「ジェムザール」の医療現場での期待について語った。「投与の仕
方も簡便で、髪の毛が抜けないといったQOL向上が見られるなど、これまでの
抗がん剤と違うのが特徴」と評した。
ジェムザールの胆道がんでの効能追加は、世界では日本が初めて。日本では、
非小細胞肺がん、すい臓がんに次いで3番目の適応取得となる。国内での05年
の売上高は110億円(薬価ベース)で、現在、尿路上皮がん、乳がんなどの適
応追加に向けた開発も進行中。
日本は胆道がんの死亡者数の最も多い国で、第2位のドイツを大きく引き離し、
1万5564人(01年、WHOのデータ)。国内では、全がん種の中で胆道がんでの
死亡率は第6位で、既存薬のUFTの奏功率は10%程度と満足するものではなか
った。最近23年間で胆道がんに対する承認薬はなく、新薬に対する期待が大き
い領域だ。
国内でのフェーズ2試験では、切除不能な局所進行あるいは遠隔転移を有する
胆道がんで化学療法初回治療例40人を対象に実施した結果、奏功率は17.5%、
1年生存率は25.0%。他剤に比べて奏功率が比較的高く、副作用が少ないジェ
ムザールが承認されたことで、これまで治療することができなかった患者にも
選択肢が広がると期待される。
砂村氏は「奏功率は約17%と(抗がん剤全体でみると)まだ低い。ただ、これ
までの抗がん剤は副作用が強かったが、ジェムザールが出てきたことで患者は
入院する必要がなくなった」と有用性を強調した。