サンバイオ・森社長 「日本をマザー拠点に」再生医療のグローバルリーダー目指す アクーゴ出荷開始に意欲
公開日時 2025/06/20 04:52

サンバイオの森敬太代表取締役社長は6月19日、再生細胞薬・アクーゴ脳内移植用注(SB623)の製造委託先のミナリス社でメディア取材に応じ、厚労省への一部変更承認申請が完了し、出荷制限の解除を目前に控えた心境を語った。森社長は、再生医療分野のグローバルリーダーとなる目標に向け、「全ては安定供給を担保する製造あってこそ。日本を『マザー拠点』と位置付け、全ての知見をフルに生かしてグローバル展開も見据えた取り組みを進めていきたい」と意欲を示した。
アクーゴは、「外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善」を効能・効果として24年7月に条件および期限付き製造販売承認を取得。その際に、「承認取得後に治験製品と本品との品質の同等性/同質性に関するデータを収集し、改めて同部会の評価を受けるまで出荷できない」との承認条件が付された。これを受けてサンバイオは、5月29日に出荷解除に必要な3回目の製造で「予定通り収量確保」できたと公表。6月12日には厚労省への一部変更承認申請を完了した。森社長はこの日の取材で、「世界で最も進んでいる日本の再生医療の枠組みでいち早く承認され、リアルワールドデータとともに集まった課題をフィードバックしながら、より良いものを作っていきたい」と強調した。

この日は、アクーゴの製造委託先(CDMO)であるミナリス社(Minaris Advanced Therapies:横浜市神奈川区)の製造工程や実際に使用するクリーンルームなどが報道陣に公開された。同社の坂東博人代表取締役社長は、「サンバイオとここまで作り上げてきた実績は、我々にとっても非常に価値のあるもの。着実に商用製造を実施することに加え、更なる適応拡大やグローバル展開にも貢献していきたい」と述べた。
◎上市に向け「十分対応できる体制」 適応拡大や米国展開見据えて対応進める
アクーゴの具体的な生産能力は非開示としたが、日本での外傷性脳損傷患者は約6万人とされており、森社長は、「上市に向けて十分対応できる体制を敷いている」と説明。今後は脳梗塞への適応拡大や米国市場への展開も見据え、製品供給の安定化と複線化に向けてJCRファーマとの間でも製造委受託契約を結んでいるとした。森社長は今後の製造体制について、「製造するクリーンルームの数を増やしてスケールアウトしていくことが中期的な見通し。さらにその先の計画も踏まえて対応を進めている」と述べた