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流改懇 流通経費を踏まえた適正な仕切価設定を求める 逆ザヤは「3割」との声も 仕切価率は上昇傾向

公開日時 2025/06/23 07:30
厚労省の医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会は6月20日、流通経費を踏まえた適正化な仕切価設定を求める声が相次いだ。メーカーが仕切価率を上昇させる傾向がある中で、折本健次構成員(日本医薬品卸売業連合会参与)は流通経費を含めて仕切価が逆ザヤになっている品目が「3割」あると指摘。購入側の構成員からも「2割」との数字も飛び出した。原靖明構成員(日本保険薬局協会医薬品流通検討委員会副委員長)は、「一社流通と同様に、メーカーさんは卸さんになぜこういう仕切価なのか、伝える義務があると思う」と述べ、流通改善ガイドライン改訂の方向性にも言及した。

厚労省は同日の流改懇に、仕切価率、納入価率がともに上昇傾向にあるとのデータを提示した。24年度の仕切価率と納入価率の差については、 2.3%(対前年度比▲ 0.5%)、割戻し率については、 5.7%(対前年度比▲ 0.2%)で、いずれも17年度以降で最小値となった。25年度薬価改定で引上げのなされた最低薬価は、仕切価率が上昇した品目が43.4%(961品目)と他のカテゴリーよりも高い傾向だった。

厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「現場から、昨今の状況を踏まえて、仕切価が逆ザヤになっているような品目も多いのではないかと聞いている。仕切価の問題については、メーカー側あるいは卸の方も含めて、どういうご協力をいただけるのか、そういう中で実態を詳らかしていくということも必要だろうと思っている」と述べた。

◎原構成員 「仕切価を上げれば納入価がもっと上がる」という発想だと非常に困る

原靖明構成員(日本保険薬局協会医薬品流通検討委員会副委員長)は、仕切価が17年から7年の間で2.2ポイント、納入価は3.6ポイント上昇していることを引き合いに、「仕切価を上げれば納入価がもっと上がるのではないかという発想だと非常に困る」と指摘。「逆ザヤの問題だが、品目数が増え、皆苦労している」と訴えた。我々のところに届くのが逆ザヤになっているということは、仕切価自体がもう流通経費を考えていない仕切りになっているのではないかということ。非常に大きな問題だ」と指摘した。

そのうえで、「薬局の交渉担当が卸に聞いてもメーカーの仕切価がとの答えしかもらえないと、“卸さん、本当にメーカーさんと話しています?”と皆疑問に思っている」と医薬品卸の果たすべき機能にも言及。「一社流通の理由を病院や薬局に伝えるように、仕切価も伝える。実際に(一社流通の理由を説明しにメーカー、卸が)来ない中でいうのも何だが、メーカーさんは卸さんになぜこういう仕切価なのか、伝える義務があると思う。それを持って卸さんは薬局に“ただ不採算だからです”、“メーカーの仕切価が上がっています”というだけだとなかなか納得いかない部分が出てきている。それぐらい品目数が多くなっているということをお伝えしたい」と訴えた。

◎折本構成員 逆ザヤ「調整幅2%を入れて計算しなおすと、品目数で3割を超える」

折本健次構成員(日本医薬品卸売業連合会参与)は、調査した結果、医薬品卸から見てメーカーから提示される仕切価が逆ザヤの品目数について、「我々がメーカーから提示される仕切価は、いわゆる消費税後付け。本体仕切価ではアイテム数でだいたい流通しているのが約2万アイテムとすると、2.7%ぐらい。消費税を入れれば、いわゆる消費税分が逆ザヤとなる」と説明。「調整幅2%を入れて計算しなおすと、品目数で3割を超えるような状態まで来てしまっている」と述べた。「過去営業をやっていた頃から考えると異常な数値」と強調。「メーカーさんといろいろな交渉の中でも、仕切価のご説明があっても、物価・人件費ということになると、我々それ以上何も言えない状態の中で、そのまま交渉に臨んでいるのが今の実態。薬価の適正な措置をしていただくということにつながれば、全体的な安定供給も含めてお考えいただけるスタートになるのでは」と訴えた。

豊見敦構成員(日本薬剤師会常務理事)は都内の薬局でも「見積もりを出していただいている中で、出てきた品目の20%が逆ザヤで、見積もりが出てきたという情報が上がってきている」と説明。「私のところでも(乖離率は)5.2%出ていないというような状況で、維持していくというのは非常に難しい状態になっている」と訴えた。

全国の薬局の中にはへき地など流通が難しい薬局もある。「流通コストもそれぞれの価格交渉の中で行われるということになると、流通コストがかかる地域とかからない地域の、納入価格の差ということも懸念しなければならなくなるかもしれない。現状の把握と、全国に医薬品が供給される体制をメーカー、卸、我々も思考して取り組んでいけるような制度が必要だ」と述べた。

◎GEメーカ―の姿勢を問う声 「積極的な姿勢があまり見えない」宮川構成員

ジェネリック医薬品をめぐる議論もあった。宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、後発品のなかで仕切価率が下降した品目は5.0%(311品目)あったことを引き合いに、「メーカーが、供給及びその取引状況を改善しようとするというような積極的な姿勢があまり見えない」と指摘。「採算割れになったら引き上げてもらえるという考え方がこびりついているのではないか。仕切価率を低下させておいて、不採算であれば不採算品の採算定を申請するというメーカーもいるのではないかと透けて見えるところがある」、「不採算になったらそれで打ち切るとか、そういうことをしたら永久に現場は苦しみ続ける」と指摘した。

村岡英徳構成員(日本ジェネリック製薬協会流通適正化委員会委員長)は、「仕切りを下げていって、最低やまた不採算なったら上げてもらえるということでやっているとは思わないが、そういうところもある。ジェネリック協会は30社でやっているので、ジェネリック協会に入っているところがどうかというところもある」と応じた。

◎宮川構成員「はっきり言う。しっかりとGE薬協がやらないといけない」

これに対し宮川構成員は、調査は日本ジェネリック製薬協会を対象に行われており「そういう発言はおかしい」と指摘。村岡構成員は「いま、勘違いを・・・」と言葉を発したが、宮川構成員に、「そうだ、大きく勘違いしている。だから、いけない。はっきり言う。しっかりとGE薬協がやらないといけない。指導しなくてはいけない。会長も含めて、そういうふうなところが、やっぱりまだ詰めが甘い」と断じた。

原構成員も、「透明化することが非常に重要。恣意的なものがあってはいけない。噂レベルで申し訳ないが、あるジェネリックメーカーさんは、この商品ももう販売中止にしたい、薬価削除したいためにシェアを3%以下にしたい。そのために、価格を上げて誰も買わなくしちゃえばいい、という噂まで流れるぐらい不透明な中で動いている。そういう噂をなくすためにも見える化すべきではないか」と述べた。

◎折本構成員 未妥結減算の50%引上げを 頻回交渉是正を

このほか、折本構成員はメーカーからの仕切価率の提示が早くなったことを指摘。「中医協マターになると思うが、(未妥結減算の)50%の妥結率をそろそろ引き上げ、頻回交渉の是正につなげるように、ガイドラインをとって仕組みをご検討いただくような機会にしていただいても、卸としてはできるかなという気がしている」とも要望した。


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