慶大・猿田名誉教授 CASE-J試験、降圧剤選択の新エビデンス
公開日時 2006/10/24 23:00
慶応義塾大学の猿田享男名誉教授は10月23日に都内で講演し、福岡の国際高血
圧学会で発表されたARBブロプレス(カンデサルタン)の大規模臨床試験「CAS
E-J」の結果を受け、「肥満や糖尿病、腎疾患などの患者背景を考慮して降圧
剤を選択することで、患者の予後をより改善する可能性が明らかになった」と
ブロプレスを評価した。今後の治療薬の選択に関して「これまでアムロジピン
を長期間使用していた患者で、血圧が高いだけなら継続して使用していいので
はないか。ただし、臓器保護や年齢を考慮するなら、少量ずつARBとの併用を
薦めるし、効果的だと思う」との見方を示した。
同試験はハイリスク高血圧症患者で心血管系イベントの発症、死亡の抑制効果
などをARBとカルシウム拮抗剤で比較(ブロプレスとアムロジピンのHead-to-H
ead試験)した。講演は武田薬品工業が開いたセミナーで行われた。
猿田氏は、ブロプレスがアムロジピンと比較して、BMI(ボディマス指数)高
値例で全死亡や、糖尿病新規発症を半減させたこと、70歳以上の腎イベントの
発生を抑制した点を強調。「有意差は出なかったが、カンデサルタンは時間を
追うごとに心血管イベントの抑制効果が認められた。この成績を持って、医療
現場の先生方は自信を持って治療をしていただきたい」と語った。
さらに「2000年に高血圧ガイドラインを作成した時はエビデンスがなかった」
と述べ、今回の試験結果を踏まえ日本高血圧学会として早期にGLを改定したい
意向を示した。