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荻窪病院・花房副院長 HIV治療薬アイセントレスは「大きな武器」に

公開日時 2008/07/22 23:00

荻窪病院の花房秀次副院長は7月18日、万有製薬のHIV治療薬「アイセントレ
ス」の発売記者発表会で講演し、世界初のインテグラーゼ阻害薬が国内で使用
可能になったことで「大変大きな武器を手にした。他の薬剤との組み合わせに
より、治療方法の選択肢が何倍にも広がり、大変意義深い」と述べた。同剤は
日本でも10年ぶりとなる新規作用機序のHIV治療薬で、7月7日に発売された。

花房氏によると、国内のHIV治療は薬物治療の進歩で感染者が長期生存するよ
うになった半面、薬剤の長期内服による副作用が深刻な問題となっている。糖・
脂質代謝異常により引き起こされる心筋梗塞や脳卒中、ミトコンドリア毒性
(細胞毒性)などがある。花房氏は「ミトコンドリア毒性が起きると、膵臓細
胞、肝臓、神経など全身に障害が起きる。他のHIV治療薬では服用して数年で
糖尿病が増えたり、脂肪肝、動脈硬化を発症することが確認されている」と解
説した。例えば、キードラッグである逆転写酵素阻害剤では服用1年後に心筋
梗塞が起きるほか、プロテアーゼ阻害剤ではC型肝炎を悪化させる危険性があ
り、「大変な問題になっている」と述べた。
一方、アイセントレスは「ミトコンドリア毒性が認められていないため、画期
的なポイント」と強調。また、他の薬剤との相互作用が少なく、安全面でも問
題ないとした。

同剤の海外フェーズ3試験では、既存の治療薬の1剤に耐性をもつHIV患者に
対し、他剤との併用療法で約60%の有効性を示した。安全面では中等度・重度
の副作用の頻度は下痢が3.7%、悪心が2.2%、頭痛が2.4%で、「大変飲みや
すい薬剤」と評価した。
現在の投与は既治療患者に限定されているが、「有効な薬剤があるうちに、早
期の段階で投与すれば、さらに高い効果が得られる可能性がある」と述べ、未
治療患者への適応拡大が計画されていることも明らかにした。
同剤はHIV DNAがヒトDNAに入り込む際に作用するインテグラーゼを阻害し、ウ
イルスの複製能と新たな細胞への感染能を抑制する。万有製薬にとっては97年
のクリキシバン(プロテアーゼ阻害剤)、99年のストックリン(非核酸系逆転
写酵素阻害剤)に次ぐ3剤目のHIV治療薬となる。

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