中医協・薬価専門部会 業界提案の薬価制度改革案、具体的な議論へ
公開日時 2008/09/24 23:00
中医協の薬価専門部会(部会長:前田雅英・首都大学東京都市教養学部長)は
9月24日、日薬連が提案していた新薬の価格を一定期間維持する「薬価維持特
例」を柱とする新薬価制度案について、具体的な検討を進めていくことで合意
した。今後、厚労省が論点を提示し、それをもとに議論を進めていく方向。年
内にも1~2回議論し、大筋の方向性を定める。
日薬連が提案していた新薬価制度案は、特許期間中の新薬やオーファンドラッ
グ、エッセンシャルドラッグなどが、特許期間中に薬価改定がなく価格を維持
する仕組み(薬価維持特例)の対象となり、後発品の上市とともに後発品に置
き換わるシステム。企業は発売早期に売上の最大化を図れるのが特徴。薬価差
の拡大を防ぐために薬価調査で判明した全品目の加重平均乖離率を適用の対象
基準としており、これを越えた薬価差となった場合は薬価改定対象品目に移行
するため、競合の激しい領域などの薬剤は適用外となる。禰宜寛治・専門委員
(薬価研副委員長)によると、薬価維持特例の対象は薬剤費ベースで50%程度
としている。
また市場規模の試算では、後発品使用促進策のみが実施された場合、20年には
全薬剤市場が10.1兆円となるが、薬価制度改革をセットで行った場合は10.9兆
円になると想定したが、11年間の累積で1.7兆円の削減になるとしている。
日薬連では、新制度の導入により▽治療難度の高い疾患に対する革新的新薬の
創出が加速▽欧米諸国と同じく迅速に、いち早く革新的新薬による治療が可能
▽未承認薬など必要とされる医薬品の開発が進展▽国内における研究開発のさ
らなる活性化により経済発展に寄与――などをメリットに挙げた。さらに、薬
価維持特例は一定要件を満たした新薬のみに適用されるもので全ての新薬には
当たらないため、革新的新薬を創出できない企業にとっては全くメリットがな
く、後発品使用促進策によるマイナス影響のみとなるなど、「製薬産業自らに
とって過酷な提案」と強調した。
薬価専門部会の委員からは、新薬価制度の両輪となる後発品使用促進策につい
て業界としてどのような対策が行えるのか、オールジャパンで進める後発品使
用促進策で得られる財源を薬価に充てるのはどうかなどの意見も上がったが、
前田部会長は「全体として議論を進めていく合意が得られたのではないか」と
の見解を示した。今後は、関係者が納得できる方策を探ることになりそうだ。