健康保険組合連合会は12月５日、保険料率の格差是正を目的とした被用者保険
者間の財政調整・一元化について、加入者が連帯感をもって運営に参加するこ
とが望ましく、制度の合理性や実現の可能性からも一元化は行うべきではない
などとする報告書をまとめた。保険者間における加入者の所得水準の違いによ
る負担の不均衡への是正は、税によって行われるべきとし、制度間での財政調
整は健保組合の自主性・自立性を失わせるとともに、健保組合の負担をさらに
増加させ、健保組合制度の崩壊、ひいては皆保険制度の破綻を招く恐れがある
と主張した。

健保連の常任理事会の下に設置された「財政調整・一元化阻止特別委員会」は
今年２月から検討を進めており、今回報告書としてまとめた。反対する基本部
分はこれまでと変わらないが、「理論武装し訴えるべき」（健保連・対馬忠明
専務理事）として、報告書をまとめたとしている。

一元化については「国の財政事情や格差問題に対する批判に同調して、基本を
変更することはあってはならない」と問題視、加入者が連帯感をもって運営に
参加することが重要で疾病予防などに繋がるとしている。そのような医療保険
の特質から考えると健保組合や国保、協会けんぽ（旧政管健保）など、多元的
な制度体系のもとで、保険者が運営に努力する体制をとるべきなどとした。
医療保険の運営方式については、加入者が参加する民主的・自主的な組織が担
う組織方式が最適と主張。国や都道府県を運営主体として一元化した制度は、
保険制度とは言いがたく、財政規律や経営努力へのインセンティブを喪失する
恐れがあると主張している。