中医協・薬価専門部会 業界側委員の応答に不満が噴出
公開日時 2009/03/18 23:00
中医協・薬価専門部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は3月
18日、業界が提案する薬価維持特例について、導入のメリットと財政影響に関
する取り組み状況について報告を受けた。メリットは患者や国民のニーズの高
い未承認薬・未承認効能について開発促進を支援するスキームを作り、拠出金
やノウハウ、人的資源を提供することを検討中であるほか、取組み状況を中医
協に報告するなど提案。財政影響は後発品のアクションプログラムを積極的に
対応するほか、薬剤費への影響についても検証することとした。
薬価維持特例は、先発品の特許期間中は薬価を維持し、特許期間満了に伴い市
場を後発品に譲るというもの。08年12月17日に開催された前回会合で、業界側
はそのメリットと財政影響に関して検討するよう求められていた。
財政影響では、後発品使用促進について政府目標に到達しなかった場合、「薬
価維持特例導入後の実現を前提として、その財政影響ならびに10年度、12年度
の薬価改定の影響を勘案したうえで、既収載品の薬価において一定程度対応す
ることを考慮する」とした。
これについて長野委員は、「仮に後発品があまり進んでいなければ、後発品と
の薬価の差を検討していただき、決定していただくということ。結果的に使用
促進が進むよう判断いただきたい」とし、業界が財政的な負担を請け負うとの
意向を示した。
後発品の使用促進に関しては、最近薬価収載が相次いでいる配合剤が槍玉に上
げられた。山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)が「特許切れで配合剤を使う
ことになっていけば、後発品を進めるとの方向から論点が変わってくる」と指
摘。長野委員は「先発企業が後発品に切り替わることを防御することはない」
と対応したが、具体的な根拠については明確に言及しなかった。それに対し、
山本委員は「あたかも先発品を守ってしまうような誤解を受ける行動は検討し
てほしい」とコメントし、具体的な対応策を業界側に求める場面もあった。
会合終了後、磯部総一郎薬剤管理官は記者団に対し、業界側の対応について
「フラストレーションが溜まる発言だった」と一蹴。「具体的で詳細な制度設
計を示し、質疑に答えられないと議論ができない」と注文をつけた。次回の薬
価維持特例の議論では業界団体からのヒアリングを行う予定で、「根本的に理
解を得て、詳細を詰めるところまでいかないと厳しい」との考えを示した。
10年度の薬価制度改革については、9月以降に検討事項の全体的な整理を行い、
12月をメドに取りまとめる予定。