田辺三菱製薬は４月27日、土屋裕弘取締役副社長が新しい代表取締役社長に昇
格させる人事を内定したと発表した。現副社長の下宿邦彦氏も代表取締役副社
長に引き上げる。これに伴い葉山夏樹社長と小峰健嗣副社長の両代表取締役は
共に取締役相談役に退く。６月19日開催予定の株主総会、取締役会を経て正式
に決定する予定。

交代理由について葉山社長は27日の会見で、07年10月に合併して発足した同社
の統合作業をほぼ終え、薬害肝炎問題の和解、遺伝子組み換えアルブミンのメ
ドウェイを巡る承認申請データの改ざん問題で同日に社内調査委員会を設置し、
原因究明と再発防止に道をつけたことを挙げた。また、「知力、体力も、世界
をまたにかけて引っ張っていくことに限界があると感じていた」と述べた。

土屋次期社長は会見で抱負を述べ、これまでの不祥事を踏まえ「まずは企業の
社会的信頼の回復ら注力したい」とし、併せて海外事業の展開などからなる
「中期経営計画の重点課題を着実に推進する」姿勢を示した。「2020年、2030
年の成長につながるパイプラインを充実していきたい」も重要課題に挙げた。

土屋次期社長は1947年７月生まれ61歳。京都大学大学院薬学研究科博士課程を
修了し、76年に田辺製薬に入社。経営企画部長、研究本部長などを経て07年10
月から現職。葉山社長は同氏を「熟慮断行の人、なおかつピンチに強い」と評
する。

同日、取締役など役員の交代も発表した。新任取締役には、執行役員製品戦略
部長の三津家正之氏、執行役員経営管理部長の子林孝司氏、三菱ケミカルホー
ルディングス執行役員ヘルスケア戦略室長の加賀邦明氏（現職も継続）が就く。

取締役常務執行役員開発本部長の柳澤憲一氏は営業本部長となる。開発本部長
の後任は執行役員営業本部製品統括部長の村上誠一氏。専務執行役員営業本部
長の江藤晃氏は退任し、田辺三菱製薬工場代表取締役会長となる予定。