スズケンと東邦 価格下落で大幅減益 10年3月期予想も厳しく
公開日時 2009/05/10 23:00
大手医薬品卸のスズケンと東邦薬品ホールディングス(HD)の09年3月期決算
が5月8日に発表された。薬価改定の影響を受けながらも両社とも1桁の増収
は確保したものの、医療施設からの価格の引き下げ圧力に抗しきれず、2桁の
大幅減益となった。
当期純利益では、スズケンは投資有価証券評価損と特別退職金などによる150
億円に上る特損を計上したため66.8%減。東邦HDは、資本・業務提携していた
富士バイオメディックスの民事再生手続き申立てに関連する損失などによる特
損78億円の計上で赤字決算となった。
10年3月期予想でも両社とも今決算の前期の08年3月期に計上した利益水準に
は届かない。会見した東邦HDの松谷高顕代表取締役会長は、「利益は、来年の
薬価改定以降に建て直したい」と述べた。同日発表した3ヵ年の中期経営計画
によると、12年3月期に売上高は1兆円突破の1兆800億円、営業利益105億円、
経常利益150億円を目指す。
松谷会長は、「これ以上価格が下落したら会社をやっていられなくなる」とし
価格下落に歯止めをかけていく一方で、メーカーからの仕入れ原価の見直しの
必要性も指摘。さらに利益を確保するため「卸としても主体的に製品戦略を考
えていかないといけない」との考えを話した。
【連結業績(前期比)10年3月期予想(前期比)】
スズケン
売上高1兆6413億3100万円(3.4%増)1兆7200億円(4.8%増)
営業利益 146億8000万円(36.9%減)96億円(34.6%減)
経常利益 288億1100万円(22.5%減)234億円(18.8%減)
純利益 70億7200万円(66.8%減)130億円 (83.8%増)
東邦HD
売上高8389億300万円(4.2%増)9700億円(15.6%増)
営業利益30億2100万円(70.6%減)60億円(98.5%増)
経常利益65億2500万円(53.1%減)91億円(39.5%増)
純利益△24億7100万円(-)50億円 (-)