ゼリア新薬 スイスのティロッツ社を買収 海外進出への足がかり
公開日時 2009/08/05 04:01
ゼリア新薬は8月4日、スイスの腸疾患治療薬に強みをもつスイスのティロッツファーマ(Tillotts Pharma AG)を9月1日に買収することで合意したと発表した。買収額は約130億円に上るとみられる。両社の主力の消化器領域を強化できるほか、医療用薬の海外販売がなく、進出の機会をうかがっていたゼリアと、自販体制の構築を築きはじめ東南アジア進出への拠点を確保したいティロッツ社との思惑が一致した。
この合意の中心にある製品はアサコール(一般名:メサラジン)。米国市場では米P&Gにライセンスが移っているが600億円もの売上があり、世界でも炎症性腸疾患分野ではトップシェアにある製品。ゼリアは、ティロッツ社から次期主力品として導入、09年中の日本での承認を見込んでいるが、今回の買収で、海外ではティロッツ社を通じて、米、カナダ、ドイツなど9カ国を除いた世界53カ国へ販売する権利を獲得することになる。
ティロッツ社の売上の8割はアサコールが占め、多くは販売委託だが、北欧を手初めに自販体制の構築を進めており、東南アジアを含めた新規市場の開拓も視野にある。そのルートに、ゼリアとしては自社医療用薬やOTCも乗せたい考えだ。
アサコールへ大きく依存することへのリスク回避策や、アサコール以降の戦略品、ゼリアとしての海外戦略品など海外を含めた事業戦略については、今後の検討を急ぐという。
08年度業績は、ゼリアは売上高476億7000万円、営業利益は13億2400万円、ティロッツ社は売上高43億700万円、営業利益は10億100万円。
4日に都内で会見した伊部幸顕社長(写真左)は、今回の買収を「国際展開の第一歩にできればと思っている」と述べた。同席したティロッツ社のトーマス・A・トス社長(写真右)は、「(ゼリアとの組むことは)ベストチョイス。消化器領域にフォーカスし、お互い補完できるところがある」とコメントした。他社との提携の可能性を探ったかとの質問には「コンフィデンシャルと理解してください」と話した。